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金属スクラップ上昇 鉄1.8ヵ月、銅2.6ヵ月ぶり高値で材料確保が困難に

2020/12/07

ニュース

鉄や非鉄スクラップの価格が上昇している。
新型コロナウイルス禍の影響で建物の解体工事などが減ってくずの発生が低迷する中、工業製品の生産が国内外で向上し、需要が増えつつあり、品切れが予測されたことある。スクラップを原料とする鉄鋼や合金メーカーは調達が困難になっている現状に困惑している。生産コストの急上昇は製品値上げに影響を大きく及ぼすとされる。

主に電炉の製鋼原料になる鉄スクラップは、鉄筋くずなどの標準品種「H2」の韓国向け輸出価格が現在1トン3万500~3万1千円程度。1カ月前と比べて14%上昇し、約1年8カ月ぶりの高値に到達。東京地区の電炉買値は3万円前後と同11%高く、大阪地区でも一段高くなることが想定されている。

コロナ禍で中小ビルやホテルの建設工事の見直し・延期が相次いだ影響で、国内で「既存ビルの解体工事も停滞し、H2の発生量が少ない」と専門商社関係者は話す。中国が輸入規制の緩和に動いており先高観もいなめない。また、自動車部品工場で鋼板を切断した際に出る端材など、価格の高い上級くずを中心に「回収業者が出荷を渋る例が増えている」と指摘する仕入れ業者も多い。

更に、粗鋼生産が増えているベトナムなどからの引き合いも多く、コロナ禍が深刻な欧米でも発生が少なく、アジア向けの輸出が停滞。日本産への需要増に影響している。10月の日本の鉄スクラップ輸出量は92万トンと9月比で23%増で、2009年6月以来の高水準を記録。国内電炉も必要量を確保するため、上昇する輸出価格への対抗値上げが必至となっている。

非鉄くずも、住宅解体工事の減少や工場の稼働低迷で発生が少ない。銅スクラップの代表品種「1号銅線」の問屋買値は現在、1トン68万2500円前後と10月下旬から11%上昇。18年6月以来の高値を付けた。中国の工業生産が回復している影響を受けたロンドン金属取引所(LME)の非鉄相場が上昇していることも卸値を押し上げる要因になっている。

アルミニウム圧延品の切断くず「新切れ」は1トン12万2500円前後と同20%近く高く、15年1月以来5年11カ月ぶりの高値だ。国内の製造業の生産活動は回復途上だが、「スクラップで出回るようになるのは3~6カ月後」とアルミ問屋関係者は語る。当面は品薄が続きそうだとの見解を示している。

アルミ二次合金メーカーは自動車生産回復を背景に需要が上向き、フル生産を続けているが、スクラップを使う製品メーカーは原料確保に躍起になっている。

鉄鋼メーカーはこれまでの原料高を受けて製品価格を引き上げたが、「スクラップ価格がさらに上昇し、このままでは採算が合わなくなる」と異形棒鋼メーカー幹部は話している。
今後も、原料高が続けば追加値上げする鋼材も出てくるとの見方もあるため、今後の動向が注目される。

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