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三菱ふそう ヒトを追従し自動運転する清掃車を開発

2020/08/05

ニュース

三菱ふそうバス・トラックは、同社川崎工場内で2台のコンセプトトラックを発表。その1台が『eCanter SensorCollect』(eキャンター・センサーコレクト)という、見た目は国内で一般的に見かける塵芥車(清掃車)なのだが、特殊機能を備えている。

このトラックは、フル電動のEVトラック「eキャンター」に塵芥車の架装を施したものだが、さらに同社やダイムラーグループのセンサー技術を盛り込んだ次世代トラックとなっている。まず車両の四隅にはベロダインのLiDARが装着される。超音波センサーは車両周囲に16か所。上部には準天頂衛星対応GNSS(QZSS)のアンテナが2基。さらに、4G/Wi-Fiのアンテナが2本立っている。

この電動トラックは、オペレータ(ドライバー)を認識し、無人でオペレータを追従する機能を搭載。また、周辺の障害物や歩行者などを検知し、安全に無人自動運転を実施。追従速度は5km/hが上限としている。オペレータの動きは360度認識しているので、後ろに回り込んだり、路地を曲がったりしても可能な限り追従を続ける仕組みになっている。

三菱ふそうは、日本のゴミ収集の効率化・問題解決のためにこのソリューション(コンセプト)を提案。一般的な自治体のゴミ収集車は、だいたい3名乗車で、住宅地の路地の各収集ポイントを回るが、住宅地内部になると収集ポイントは数メートルおきに点在。そのため、ドライバーが低速運転しながら、残り2名が収集車の周りを徒歩で移動しながらの収集作業は非効率といえる。

eCanter SencerCollectなら、住宅地内の収集時にドライバーは自分で運転する必要がない。車両から降りて収集ポイントに移動すればクルマが勝手についてきてくれる。障害物があれば避けてくれるし、歩行者がいれば停止する。オペレータはリモート緊急停止ボタンを持ち、車両外部にも2か所「キルスイッチ」がつく。

Wi-Fiアンテナはリモート緊急停止ボタンやオペレータのスマホとを通信させ、オペレータはリモートボタンと専用アプリがインストールされたスマホを所持して外に出る。イニシャライズゾーン(車両前方)に入り、自分を追従するように車両に認識させる。その後は、停止や解除、オペレータを見失うまで自動追尾モードで走行。

4つのLiDARが周辺の物体、移動体をリアルタイムで認識。追従すべき人間の動きもトラッキング。LiDARの情報と16個の超音波センサーの情報で、進路探索、歩行者検知を行う。

三菱ふそうは、eCanter SencerCollectのコンセプトモデルを開発するにあたって、国内のごみ収集業務を徹底調査。海外、とくにEUは、自治体ごとに規格が異なる回収用のゴミ箱の収集はロボットアームで運転席から自動で行えるが、そうでない日本特有のゴミ収集問題への対策として有効なものとしている。すぐにでも実用化すべき技術とされる。

しかし、同社としてこのモデルをすぐに実用化する予定はないという。無人走行についても、法律に合わせるためとしてる。コンセプトとシステムはよく考えられているが、現状、LiDARセンサーは比較的大きいものがむき出しで装着されている(超音波センサーはバンパーやサイドカバー等にきれいに埋め込まれている)。また、360度の人物のトラッキングなら、LiDARよりカメラによる画像認識のほうがコストを下げられるとして今後も実験が続く。

eCanter SencerCollectは、実用化目的ではなく、各種技術のPOC(Proof of Concept:概念実装)と考えられる。低速でのオペレータ追従自動走行は、ごみ収集以外にも応用範囲が広い。自動駐車の応用でトラックターミナル、倉庫、集配センターなどでも使用が可能とされている。また、乗用車においてもリモート操作での自動駐車やバレーパーキングでの車両の呼び出しに加え、駐車場や制限エリアでの人による車両誘導がしやすいと考えられる。

三菱ふそう、およびダイムラーとしては、各種の要素技術を生かしたソリューションをプロタイプやPOCとして実装することで、これからのCASE車両へのニーズにいつでも応えられるようう準備段階にきているという。

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