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DOWA河野正樹社長に聞く、廃家電、海外にも回収網、リサイクル製錬所稼働。

2008/07/12

ニュース

非鉄製錬大手のDOWAホールディングスは四月、秋田県小坂町で約百二十億円を投じた複合リサイクル製錬所を稼働させた。金や銀、レアメタル(希少金属)なども回収可能な国内初の本格的なリサイクル対応型の炉だ。狙いや原料確保の見通しなどを河野正樹社長に聞いた。

――新型炉の稼働状況は。

「廃家電や製錬所から出る製錬残渣(ざんさ)などから現在、金、銀、銅など十七種類の金属を回収している。処理能力は銅地金換算で年二万―三万トン。ほかの金属は原料の状況で変わる。同種の炉は世界でもまだ数カ所しかない」

「最適な操業方法を試行錯誤しながら運転しているので、現在の稼働率は約五割にとどまる。九月には稼働率を八割まで引き上げる考えだ。一―二年以内に分離が難しいとされるニッケルとすずの回収・生産技術を確立し、最終的に十九種類の金属を回収できるようにしたい」

――なぜリサイクル炉なのか。

「小坂地区は江戸末期から鉱山がある製錬所だったが、鉱山は一九九四年に閉鎖し、原料の鉱石を海外に依存する形になった。ただ規模も大きくなく、立地が海岸から離れているため輸送コストがかさみ、天然鉱石を使う製錬所としては競争力を失った。一方で以前は黒鉱と呼ぶ様々な金属を含む鉱石を原料としていたので、多くの金属が含まれる鉱石から各種金属を回収する技術が長年蓄積されている。家電のリサイクル工場や最終処理施設などもあり、インフラも整備した」

――資源価格の高騰の影響をどう見るか。

「海外鉱山会社の再編が進み、国内の製錬各社は天然鉱石を買う条件が年々悪化し採算性が落ちている。新型炉は廃家電などが原料のため、鉱石の購入条件の悪化は収益に直接影響しない。資源の高騰はむしろ追い風になる」

 ――リサイクル原料も争奪戦が激化しているが。

 
「国内の競争は確かに激しいが今後、海外ネットワークを活用していく。マレーシアやタイなど東南アジアで使用済み携帯電話を回収し輸入する体制も整備し始めた。他社の製錬所で回収されない製錬残渣なども原料に使っており、原料は十分確保できる」

 
――主要事業である亜鉛の海外鉱山の取得は。

「チャンスがあれば鉱山の権益を取得し、現在一五%弱の自山鉱比率(自社の鉱山から鉱石を調達する比率)を高めたい。だが亜鉛は他の金属と比べ価格が軟調なので、慎重に検討する。代わりに今までほとんど実績がなかった亜鉛のリサイクルに本格進出する」

 
「国内の鉄鋼各社は自社発生ダストのリサイクルに力を入れ始めている。当社も受け入れ専用設備を二〇一〇年初頭に年二万トン規模で稼働する計画だ。リサイクル資源の比率が高まれば実質的に亜鉛の自山鉱比率は高まる」

出典:2008/07/11, 日経産業新聞, 13ページ,

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