ダム建設の副産物粘土で地域おこし 山形
2008/08/04
ニュース
山形県村山総合支庁は、留山川ダム(天童市)の建設に伴い大量発生した粘土を、地域おこしに活用する検討を始めた。建設副産物を再利用することで、環境への配慮とコストを縮減する狙い。昨年始めた粘土の無償提供は予想を超える人気となっており、関係者は「捨てればごみ、使えば資源」の精神で、新たな活用策などに知恵を絞る。
同支庁は学識経験者と窯業関係者、ダム建設地周辺で地域おこしにかかわる住民らによる検討会議を設立した。粘土を価値ある地域資源と見なし、陶芸や体験学習など、多様な観点から活用策を探っていく。
粘土の量は10トントラックで200台分(約1万立方メートル)に上る。掘削工事が始まった2006年度のボーリング調査で、粘土層があることは判明していたが「掘ったら、その量に圧倒された」(県留山川ダム建設室)という。
建設場所は2万年前、湖だったらしく、粘土は湖底の堆積(たいせき)物とみられる。金属分を20%含み、熱に弱い面もあるが、素焼きには好適とされる。
県が昨年度、粘土の無償提供を呼び掛けたところ、陶芸愛好家や建設関係者ら、予想を超す約300人が利用を申し出た。仙台市をはじめ新潟、愛知、兵庫の各県からも希望者が現れた。
約2万年前の遺跡を保存する仙台市太白区の「地底の森ミュージアム」はダムの粘土を使い、縄文土器づくりを企画したという。
無償提供への好反応を受け、県は粘土の利用価値を再認識。今回の活用策の検討につながった。同建設室の担当者は「当初のダム建設計画にはない事業だが、廃棄処分される粘土を地域振興につなげたい」と話している。
出典:河北新報社