【東ソー】CO2年間50万t削減へ|投資額約400億円のバイオマス発電
2022/09/20
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バイオサイエンス事業でも知られる東ソーは、山口県周南市に主要拠点「南陽事業所」を構え、石炭火力発電所を稼働させていた。
今回、老朽化に伴って同発電所を取り壊し、バイオマス発電所を新たに設置することが決まっている。
投資額は、周辺施設の整備等込みで400億円ほどになり、稼働は2026年春を予定。
石油を原料とするため、石炭火力発電所はCO2(二酸化炭素)の排出量が大量に出てしまうと言われている。
バイオマス発電所が無事に稼働すれば、年50万tの二酸化炭素排出削減に繋がり、脱炭素化を推し進めることが可能だ。
現在6基の自家発電所がある東ソーの南陽事業所は、6基すべてが火力式の発電となっている。
そのうちの1基を出力は74,000kwのバイオマス発電所新設によって転換する計画だ。
南陽事業所は全体の出力が合計80万kwほどなので、バイオマス発電所はその1割を占めることになる。
石炭には建築廃材や木質燃料、廃プラスチックや古紙を原料にした固形燃料「RPF」を使用して発電するという。
しばらくはRPFと木質燃料を含めた燃料を混焼し、2030年までに石炭を使わない発電に完全移行する計画だ。
東ソーは木質燃料と石炭を混ぜて燃やすことで、自家発電所の二酸化炭素削減に取り組んできた。
2020年度には28,000tのバイオマス燃料を使い、36,000tの二酸化炭素削減に成功した。
しかし、既存の火力発電所で混焼するには設備的に限界がある。現在使っている「微粉炭ボイラー」は石炭を約100㎛まで細かくし、効率よく燃焼できる大きさまで粉砕してから燃やす仕組みになっている。
木質燃料も同様に細かくすれば微粉炭ボイラーで燃焼させられるが、可塑性が高い木材を粉砕するには大規模な設備を必要とする。
そのため、新しい発電所では建築廃材や木材ペレット、廃タイヤ燃料等さまざまな燃料を効率よく燃やせる「循環流動ボイラー」を採用する。
既存の発電所では引き続き木質燃料の混焼比率を増加させる等を実施して、さらなる二酸化炭素排出削減を目指す。
東ソーは、海外の連結子会社を含めると、2021年度の二酸化炭素排出量が全体で832万tだった。
内、80%ほどが化石燃料の燃焼が原因で、発電時の二酸化炭素削減が全体の排出量削減に多大な影響を及ぼす。
新しく設置されるバイオマス発電所が稼働すれば、年間50万tの二酸化炭素排出削減に繋がると見られている。
東ソーの目標は、2030年度までに二酸化炭素排出量を2018年度比で30%削減させることだ。省エネ投資や燃料転換等に2022〜2024年度で600億を投じる方針だ。
経済産業省によると、産業部門のエネルギー起源二酸化炭素排出量は、業界別で見ると鉄鋼業が40%と最多で、次が化学工業の14%となっている。
二酸化炭素排出削減に取り組んでいるのは他の化学メーカーも一緒で、株式会社トクヤマは竹を使用した発電に当たり、定期修繕前のボイラーで竹チップと石炭を混ぜて燃焼させるという。
山口県周南市に構えている徳山製造所の石炭火力発電を1基、2025年度までにバイオマス専焼プラントへ転換する方針だ。