【環境省】日本を金属リサイクル拠点に中期戦略案
2022/04/25
ニュース
4月20日、環境省が脱炭素化に向けて、日本を蓄電池や太陽光の国際的なリサイクル拠点にする方針との中期戦略を発表しました。
リサイクル原料の国内処理量を2030年度までに倍増させる方針で、鉱物採掘に伴う温暖化ガス排出を減らし、金属資源の海外依存度を下げて経済安全保障との両立をめざすとのことです。
小型家電などに含まれる有用金属のリサイクルを強化することで、国内やアジアで増加する「電子ごみ」を輸入し、国内で再資源化する。鉱物資源の海外依存度を減らすことで、アジア諸国の資源循環と脱炭素につなげる狙いだ。
日本鉱業協会再資源化部会によると、使用済みの電子部材や蓄電池といったリサイクル原料の処理量は輸入品も含めて20年度で約90万トン。
スマートフォンなど小型家電の電子基板には金や銀、パラジウムが、蓄電池にはリチウムやコバルトといった希少金属が含まれる。
日本はパラジウムの4割をロシア、リチウム化合物の大部分を中国とチリから輸入している背景があり、金属リサイクルを生かし、国際情勢によって供給が不安定になるリスクを下げる狙いだ。
また、プラスチックの分野では、企業や家庭が出すプラごみの回収量を30年度までに倍に増やし、4月に施行したプラスチック資源循環促進法にもとづき、家庭から出るプラごみを回収する自治体を支援することで、使用量の削減やリサイクルを促すことを目標としています。
そして、食品廃棄物の削減も強化することも発表され、30年度の食品ロスの目標値を年489万トンから400万トンに深掘りするとしています。
廃油から再生航空燃料を製造するといった再利用も進める方針です。
世界では航空機への環境規制が強まり、欧州ではSAFの使用比率を義務化する方針で、対応していない飛行機は乗り入れられなくなる可能性が高まっています。
環境省は金属資源の採掘や輸送、プラスチックや食品の製造や廃棄に伴って発生する温暖化ガスを削減する目標を掲げ、温暖化ガス排出を3~4割減らせるとの試算もある。
関連分野の市場規模を現在の50兆円から30年までに80兆円に拡大することをめざしています。