国内廃プラ類の稼働率・保管率は上昇 廃プラ輸入禁止等の影響
2022/04/22
ニュース
環境省は4月21日、2021年度の国内の廃プラスチック類の処理に関する状況を調査した結果を公表しました。
この調査は今回で6目で、都道府県や廃棄物処分業者を対象に、廃プラスチック類の処理などに関するアンケート調査で、その結果をまとめたものとなります。
これまでの2018年8月~2020年12月に行われた5回の調査では、廃プラスチック類処理施設の処理量・稼働率・保管率は、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響により、一時、期輸入禁止措置以前の水準より大きく低下していましたが、その後再び上昇していることが確認され、2020年11月末時点では、輸入禁止措置以前の水準に戻りつつあることが確認されています。
今回の調査では、廃棄物処分業者を対象としたアンケートから、稼働率・保管率については、輸入禁止措置直前の水準に戻っていたことが確認されました。
・処理料金が増加したと回答した事業所は、中間処理業の60.4%、最終処分業の30.0%。
・処理料金に反映できていないと回答した事業所は、中間処理業の26.6%、最終処分業の40.0%。
また、自治体アンケートによると、一部地域においては、保管上限超過の基準違反が確認されています。
そして廃プラスチック類処分施設の処理量や稼働率、保管率の変化次第では、「今後も廃プラスチック類の適正処理に支障が生じるか、あるいは廃プラスチック類の不適正処理事案が発生する可能性は否定できない」としています。
同調査は2017年末以降の中国を始めとする外国政府による使用済み廃プラスチックの輸入禁止措置をはじめ、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大によるコロナ禍、2021年1月に発効した有害廃棄物の輸出入に関する「バーゼル条約附属書改正」等による、国内の廃プラスチック類処理への影響を把握することを目的としています。
不法投棄は確認なし、保管基準違反は13件
諸外国による廃プラスチック類の輸入規制に起因する可能性のある廃プラスチック類の不法投棄事案は、確認されませんでした。
産業廃棄物処理業者等の廃プラスチック類の保管基準違反は、約13件の7自治体で確認されています。
また、廃棄物の種類はフィルム状プラスチック、漁網、 廃プラスチック混合物等で、発覚の経緯は立入検査だったようです。
これらの事案については、その自治体において、指導等により改善済み又は指導等対応中であります。
自治体による搬入規制等の緩和等の状況
外国政府による使用済み廃プラスチック等の輸入禁止措置等の影響により、国内での廃プラスチック類の処理がひっ迫している状況を踏まえて、環境省は都道府県等の関連部署に、2019年5月20日付で、手続等の合理化や排出事業者責任の徹底などを求める「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について」を通知しています。
2020年11月末~2021年10月末で、6つの自治体が廃プラスチック類に関して事前協議等による域外からの搬入規制等の緩和等を実施したほか、6自治体が廃プラスチック類に係る不法投棄の監視強化を行っていますが、一方、廃プラスチック類の処理を一般廃棄物処理施設で受け入れた自治体はなかったとのことです。
また2019年9月の省令改正により、優良産廃処理業者の廃プラスチック類の保管上限が14日間から28日間に引き上げられたことを受けて、2自治体の保管上限の引上げに伴う届出を行っています
今後の対応等について
環境省は、今後の対応として、バーゼル条約附属書改正等を受けた廃プラスチック輸出入の動向や、新型コロナウイルス感染拡大の状況等を踏まえながら、今後も必要に応じて、廃プラスチック類の処理のひっ迫状況や不法投棄等に関する実態把握と自治体などへの情報共有を進めていく。
加えて、以下の対策を引き続き進めるとしています。
・「プラスチック資源循環戦略」に基づき、プラスチックの資源循環施策を展開。
・廃プラスチック類通知の内容について自治体に再周知。
・優良認定処分業者の保管量の上限引上げ制度を活用しつつ、優良認定業者による処理を推進。
・高度リサイクル設備の導入を支援し、国内の資源循環体制を促進。
・「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を2022年4月1日施行。
今回の回答率は、47都道府県と82政令市からの回答と、産業廃棄物処分業者が30.2%(調査対象716者のうち216者から回答)でした。