【大和郡山市】市民の反対意見を酌んでごみ処理施設を単独建設へ。
2021/09/10
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奈良市・大和郡山市・斑鳩町の3市町で共同建設する予定だった新ごみ処理施設(クリーンセンター)は、17日に寄せられた大和郡山市8自治体会からの反対意見を受け、大和郡山市が単独建設する方針を固めた。
同市は8月末、3市町で進行してきたごみ処理施設建設勉強会から脱退する旨を奈良市に伝えたという。
建設地には奈良市七条地区が候補となっていたが、大和郡山市の市民からは、下記を理由に不適切だという声が上がった。
- 候補地の周囲に養護学校や病院、薬師寺がある
- ごみの量が増加して不衛生
- 車両の通行が増えて危険
大和郡山市の8自治体すべてから計画の反対や勉強会離脱が求められたため、中尾誠人副市長は「今後は単独でごみ処理施設の整備にとりかかる」と話した。
清掃センターにある現在のごみ処理施設は2015~17年度に耐久性などを水準まで引き上げる工事を行い、32年度まで使える寿命の長期化が完了している。
今後は同敷地内で焼却施設を整備し、33年度からの稼働を目指すが、環境アセスメントや発掘調査等を考慮すると約10年の歳月を要するという。
奈良市の計画がこのまま進行した場合、大和郡山市現有のごみ処理施設と約300mの間隔で両市境に並ぶことになる。
大和郡山市の中尾副市長は「我々は同じ場所で約40年稼働している。奈良市の計画は奈良市が判断すべきことだ」と話す。
奈良市の仲川市町は、大和郡山市の判断について「大変残念」と胸中を明かした。
奈良市の現ごみ処理施設は完成後40年の歳月を経て老朽化が進行している状態だ。
焼却炉の一部に不具合があったことから、8月23日からは稼働していない。
仲川市長は早急な建て替えが必要であることや、七条地区が候補地として望ましいとの認識を示している。
「地元住民とコミュニケーションをはかり、丁寧に対応していきたい」と述べ、今年度中に新たな方針を示す予定だ。
斑鳩町も「奈良市との協議のもと、今後を検討する」とした。
新ごみ焼却施設の建設は広域化も視野に入れ、17年に大和郡山市、生駒市、平群町が勉強会を立ち上げた。
翌年に奈良市と斑鳩町が参加するも、奈良市提示の案では時期的に難しいとの理由で生駒市と平群郡が離脱。
大和郡山市も、地元住民から反対の声が上がり続ける場合は単独整備も検討するとの考えを示していた。