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静岡・磐田化学工業 食品廃棄物をメタンガスで環境事業へ本格参入

2020/12/29

ニュース

静岡県磐田市の磐田化学工業株式会社は、食品廃棄物を発酵させエネルギーに換える環境事業に注力していくと発表。
高濃度の塩分やセルロースを含む廃棄物を分解する技術を開発し、廃棄物の受け入れを広げるというもので、環境意識の高まりを背景に事業を展開する。

発酵させた食品廃棄物からメタンガスを発生させる「メタン発酵」を中心として、同社は国内で有数の大型メタン発酵装置を設置。装置内では嫌気性の微生物を培養しており、企業の工場から受け入れた廃棄物や廃液を投入して分解する。発生したメタンガスは蒸気に換えて熱源として自社工場で使うほか、一部は電気に換えて販売する方針。

同社は、塩分濃度の高い廃棄物を分解する技術を開発。通常、塩分が多いと微生物の活動が弱まるため、処理は困難とされていた。タンクに入れる栄養剤の濃度を調節したり、発酵中のある特定の物質を適切に管理したりすることで微生物の活性化を促した。これにより、しょうゆや味噌などの調味料に対応が可能となり、こうした製品を扱う食品メーカーから廃棄物の受け入れを開始するに至った。

また、セルロースを分解する微生物の育種にもついても複数の大学と共同研究を進めており、研究は順調としている。従来のメタン発酵とは管理方法が全く異なり、専用の発酵装置を設置する必要があるため、静岡県から補助金を受け、数年以内の実用化を目指すという。これまで焼却することの多かった茶殻など容易に分解可能となる。県内には茶の生産工場が多いため、廃棄物の受け入れ需要が大きく見込まれる。

さらに、同社ではクエン酸など有機酸の販売や発酵製品を受託製造。メタン発酵を始めたのは1977年に遡る。長年、自社の食品工場から出た廃棄物のみを処理していたが、2006年に産業廃棄物処理業の許可を取得し外部からも受け入れを開始。一般的に使われる中温菌でなく高温菌を使用するもので、セ氏55度程度の高温で発酵させるため処理速度が高いのが強みである。現在では、余った食品・飲料や不良品など年間約6000トンの廃棄物を静岡県や愛知県の企業から受け入れている。

同社の20年3月期の売上高は53億円。
その内、有機酸などの販売事業が約半分を占めている。環境事業はまだ5%程度だが、中長期で10%ほどに伸ばす計画としている。将来的には、油分の多い廃棄物の分解技術も開発する計画で、食品廃棄物を幅広く処理できるシステム構築を目指す。

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