香芝市敗訴 ごみ処理入札裁判で最高裁が上告棄却
2020/09/16
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奈良県香芝市が行ったごみ収集事業の入札で、契約する業者が事前に決まっていて違法だとして住民らが訴えた裁判で、最高裁判所は市側の上告を退ける決定をし、市に対して業者に委託料の返還を求めるよう命じた判決が確定。
香芝市は、家庭ごみの収集事業について「指名型プロポーザル」と呼ばれる入札を経て、平成28年に市内の業者に委託しましたが、地元の住民らは、「入札は形だけで契約する業者が事前に決まっていて違法だ」と訴えました。
1審と2審は、いずれも「業者は入札の募集が行われる前からごみ収集車を用意し、募集内容に合わせた塗装まで行うなど、契約の前に委託が内定していたとみられ、契約は違法だ」などと指摘し、市に対して、業者にすでに支払った委託料の返還を求めることと、業者への支払いの差し止めを命じていた。これに対して市側が上告してていたが、最高裁判所第3小法廷の林景一裁判長は、10日までに上告を退ける決定をし、市の敗訴が確定。
この問題をめぐっては大阪地検特捜部がことし7月、官製談合防止法違反の疑いで、業者や関係する市議会議員の自宅などを捜索し、捜査を進めています。
香芝市の敗訴が確定したことを受けて福岡憲宏市長は「真摯に受け止め、支払い済みの委託金額の返還請求など、確定した判決内容の履行を速やかに実施したい。また、ごみ収集運搬業務は日常生活に密着した業務であるため、早急に体制を整えて市直営で収集センターの職員が行い、市民生活に影響が出ないことを最優先に対処していきたい」と述べている。
【ごみ収集事業入札問題経緯】
同市によると、問題となっているごみ収集事業の入札は、平成28年2月に業者の提案内容などに基づいて決める「指名型プロポーザル方式」で実施。
審査は、当時の副市長や部長など市の幹部5人が担当し、参加した6つの業者の提案内容や実績など評価した結果、AMカンパニーが最も高い評価を受け、市は、1か月およそ370万円、5年間の契約でごみ収集の業務を委託。しかし、入札からAMカンパニーに委託するまでの一連の流れのなかで、不自然な点が多数判明。
①プロポーザルの実施が業者に通知されたのは平成28年1月にも関わらず、AMカンパニーは、それより前の平成27年8月ごろから中古のごみ収集車2台を探すよう自動車販売店に依頼。
②平成27年の9月から12月にかけ、車で流す音楽を実際の仕様で通知された「赤とんぼ」や「エリーゼのために」とするほか、「香芝市一般家庭ごみ収集運搬業務委託車両」と書かれたフィルムを車体に掲げるよう販売店に指示。
上記のような不自然な点について、4年前、入札は八百長だった疑いがあるとして、住民が委託料の返還などを求める訴えを起こした。