古紙価格が急落 2年前の1/5に 業者は買取から有償引取へ
2020/03/23
ニュース
古紙の世界的な受け入れ先となっている中国が環境規制で輸入量を制限した影響で、古紙の国際取引価格が落ち込み、全国の古紙回収業者が苦境に立たされている。
1キロ当たりの販売価格は2年前の15~20円を大きく下回る4円と5分の1以下に急落。中国の環境規制の影響で、日本の古紙輸出を前提とした資源リサイクルは転換期に面している。
「もう置く場所がない」として国内古紙卸と製紙会社の段ボール古紙などの合計在庫能力は145万トンとされるが、「9割近くに達している」と古紙卸幹部は話す。関東の古紙問屋で構成する関東製紙原料直納商工組合の9月時点の段ボール在庫量も3万3千トンと前年比3倍弱に膨れあがっている状況。
古紙は00年ごろから、回収量が国内再利用量を上回る状況が続く。企業や住民のリサイクル意識の高まりや自治体の積極的な回収など地道な取り組みの結果だ。国内で使い切れない分は輸出することで再循環システムを構築していたが、輸出低迷により、国内製紙各社の買値も引き下げられれば古紙回収システムは崩壊するとしている。
古紙問屋や商社は東南アジアなど中国以外の輸出先開拓を急いでいるが、インドネシアなどでも中国同様に環境規制は強まっており、輸出量を増加できる見込みは立たない状況。
輸出価格も下落しており、輸出が好調だった18年秋に一時1キロ30円を超えた価格は現在5円程度まで下落。国内在庫を減らすために赤字輸出を余儀なくされている。関東商組も不採算で6カ月連続で輸出を見送っているという。
段ボールの古紙価格は年初から4割以上安い1キロ6.5円まで下落。採算の悪化で回収を見送る業者が出ており、危機的状況にある。