小松市センターでAR活用 金工大生「見える化」ごみ処理システム開発
2020/01/18
ニュース
金沢工大は小松市と連携し、ごみ焼却施設の一連の処理を拡張現実(AR)の技術で「見える化」するシステムを開発。
施設の見学スペースで眼鏡型の装置を着けると、壁などで隠れて見えない設備が映し出され、イメージ動画や音声で作業の説明が受けられる仕組みとなっている。同大によると、将来的にも目視できない場所を含む全体像の把握に役立つ技術として、建築分野の教材へ応用を検討中。
システムは同大建築デザイン学科4年の野田一斗さん(22)が小松市クリーンセンターの施設見学用にシステムを開発。
カメラやセンサーを内蔵した眼鏡型の装置をかけて見学スペースに立つと、焼却炉や蒸気タービン発電機など各設備の稼働イメージが3次元動画で紹介されるというもの。操作方法は、親指と人さし指をくっつける動作で行うことができ、それに反応して音声ガイドが流れる。
これにより、天井や壁に隠れているボイラーなども立体的に再現され、普段は見えない設備の構造や動作を分かりやすく理解できるメリットがある。
同市と金沢工大は建築分野での新技術開発などに関する包括連携協定を結んでおり、今回のARを活用したシステム開発もそのひとつ。
野田さんは同大建築学科の下川雄一教授の指導を受け、昨年4月に卒業研究として開発に着手。クリーンセンターの設計・施工を担当した川崎重工業のサポートを受け、施設の3次元データを基にアプリの試作にこぎつけた。17日に報道機関向けの閲覧会を開き、市は今後、見学者向けに導入していく方針。
建設業界では危険な高所作業などの研修でVR(仮想現実)の活用が進む。
野田さんは「ARもスマートフォンとの相性が良く、日常に取り込みやすい技術。教材としての可能性はまだまだあるはず」として、春から同大学院に進み、実用化を目指している。