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頂上で悪臭がする「平川富士」…高さ18m

2011/02/15

ニュース

 千葉市緑区平川町で大量に不法投棄され、「平川富士」と呼ばれる産業廃棄物の山の処理に、同市が乗り出している。

 しかし、高さ18メートルで約4万6000立方メートル(約3万5000トン)と量があまりに膨大なため、予算の都合から撤去量は約3分の1にとどまり、産廃の山は今後も残る見通し。県によると、県内で残存している5万トン以上の不法投棄場所は少なくとも25か所に上っている。

 市消防総合センター裏手にある、産廃処理業「千葉福祉建設公社」の中間処分場。7年間にわたって運び込まれた廃プラスチックやがれきなどが、三つの山を作っていた。最高点に上ると悪臭が鼻を突いた。廃棄物に含まれる石こうボードが化学反応を起こして発生した硫化水素が原因とみられるが、市担当者は「実際、内部に何が埋まっているかわからない」と話した。

 近くに住む岩沢弥生さん(45)は「富士なんてきれいなもんじゃない」と顔をしかめた。処理場は2001年に稼働開始、「気づいたら山となっていた」という。風向きによっては悪臭も届き、井戸水を使う周辺住民は水質汚染にもおびえた。ようやく始まった撤去作業だが、「全部が撤去されるわけではない」と岩沢さんの表情は晴れなかった。

 中間処理場の許可を受けた同社は、許可容量約1900立方メートルの約24倍に至るまで保管を続けた。市からの計10回にわたる行政指導や改善命令にも応じず、07年、県警から廃棄物処理法違反で立件され、有罪判決を受けた。市によると、実質的経営者は08年に愛知県で事故死し、同社は当事者能力を失っているという。

 崩落事故などを防ぐため、市は財団法人「産業廃棄物処理事業振興財団」に費用の4分の3の拠出を申請した上で5億5000万円の予算を組み、行政代執行による約1万8000立方メートル分の撤去を計画している。

 すでに昨年10月から、廃棄物を排出した業者数十社に、排出した分の自主撤去を求めているが、現時点での撤去量は約1500立方メートルにとどまっている。

 千葉県によると、かつて「産廃銀座」と呼ばれた市原市福増で約35万トン、銚子市の3か所で約20万トンと、県内には大規模な産廃不法投棄場所が点在している。いずれも10年以上にわたって放置されているため、草木が生え、見た目にはごみの山とはわからない。

 県の担当者は「業者の多くは所在不明で、行政も数十億円の撤去費用は出せない。産廃の山は一度生まれたら、なかなか元に戻せない」と話している。

出典:読売新聞

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