阿蘇にごみ不法投棄98トン
2011/01/19
ニュース
世界遺産目指す山林や牧野
県などが世界文化遺産登録を目指す阿蘇の山林や牧野などに、昨年1年間で計98トンの廃棄物が不法投棄されたり、長期間放置されたりしていたことが、県阿蘇保健所のまとめで分かった。
1か所で17トン捨てられていた場所もある。投棄者が割り出せない場合も多く、処理費用の負担を巡って地権者と土地の借り主が訴訟になった例も過去には起きているという。
同保健所の監視員が、阿蘇市など管内7市町村を巡回して発見したのは産業、一般廃棄物合わせて計30件、75トンで、タイヤ、建築廃材、壊れた電気製品、プラスチック、家庭ごみなど様々。
保健所の巡回とは別に、阿蘇地域の警察、民間団体など62団体でつくる阿蘇環境ネットワークが行った合同巡回では計40件、23トンが見つかった。
世界ジオパーク(地質遺産公園)認定に向けても阿蘇市が重要な見所、「ジオサイト」の一つに挙げる北外輪山・二重峠そばの県立高校管理地内の急傾斜地には、空き缶や木片など1トンが捨てられ、地元の建設業協会が奉仕作業で回収した。
阿蘇では3月に大分県くじゅう地区と共に「阿蘇カルデラツーリズム博覧会」が開幕。多くの観光客が訪れる見込みだが、見晴らしの良い高台の駐車場そばのがけや山林、原野、河川などが投棄場所になっている。
高森町では宅地に家屋廃材など計17トンが投棄されていたほか、南阿蘇村では自営業者が自分の土地に木材チップに加工予定の根株や竹、20トンをロープなどで囲いをせず放置していた。
同保健所は「ごみの不法投棄をなくそうと阿蘇環境ネットワークの前身組織発足から10年たち、以前に比べると不法投棄は減ったが、なくならない。悪質な場合、刑事告発や廃棄物処理法に基づく改善命令で臨む」としている。
出典:読売新聞