針刺し事故:16件 注射針混入、家庭ごみ収集中−−09〜11年度 /東京
2013/11/15
ニュース
家庭ごみの中に使用済みの注射針が混入し、収集作業員に刺さる事故が、2009〜11年度に都内で16件起きていたことが都の調査で分かった。糖尿病のインスリン注射の針などが回収されず多量に捨てられている実態があり、関係団体で作る都の検討会は、回収の徹底に向けた連携強化が必要だとする報告書をまとめた。
都環境局が、島しょ部を除く53市区町村にアンケートした結果を分析した。ごみ収集中の事故は▽09年度6件▽10年度8件▽11年度2件。他にデパートやホテルのトイレやごみ箱で針が見つかり、清掃担当者がけがをしたケースもあるという。
在宅医療での自己注射にはインスリン、抗がん剤、インターフェロンなどがあり、高齢化の進展に伴い普及が進んでいる。厚生労働省によると、在宅での自己注射件数は11年度が1カ月に約70万件で、06年度と比べ約1・3倍に増加。都の推計では昨年度、都内の家庭で使われた注射針は約5840万本に上る。
家庭で使った注射針は一般廃棄物の扱いで、不燃ごみと一緒に処理しても違法ではないが、針刺し事故にはウイルス感染などのリスクもある。
そこで都薬剤師会は02年から、注射器を患者に渡す際に、使用済みの針を入れるためのプラスチック容器も渡し、後で回収する独自の取り組みを始めた。昨年度は推計で約1224万本を回収したが、薬剤師会に未加入の薬局や医療機関で注射器を受け取る患者もおり、100%回収にはほど遠い。
検討会が今月まとめた報告書は、注射針は「感染性廃棄物として扱うのが望ましく、医療機関と薬局で引き取るのが原則」と指摘。その上で「今後、患者や介護者の負担が少ない処理方法を目指すことが重要だ」と提言した。都一般廃棄物対策課は「医師会や薬剤師会などと連携して、安全な回収を徹底したい」と話している。
出典:毎日新聞