軽米に産廃施設計画/岩手
2009/02/23
ニュース
軽米町で、産業廃棄物などの管理型最終処分場の建設を民間業者が計画していることが20日、わかった。完成すれば、県内最大の処分場となる。これに対し、地元住民らは「環境汚染などが心配される」として建設反対を訴え町に署名を提出。達増拓也知事あてに建設阻止の要望書も出す予定で、今後の展開が注目される。
最終処分場は、二戸市の佐藤建設工業の子会社「アルバライフ」が出資する「アルバ環境開発」が、同町山内に建設を計画。佐藤建設工業が運営する採石場の跡地を利用して、廃棄物を埋め立てる。
埋め立て容量は覆土を含め148万立方メートルを予定。完成すれば、今春に拡張工事が終わる「いわてクリーンセンター」(奥州市江刺区)の容量123万立方メートルをしのぎ、県内最大となる。
受け入れる廃棄物は、汚泥や廃プラスチック、がれき類などの産業廃棄物と、焼却残渣(ざんさ)や不燃物などの一般廃棄物。県内だけでなく隣県の青森、秋田からも廃棄物を受け入れ、埋め立て期間は30年間を想定する。3年後の稼働を目指しており、総事業費は50億円を見込む。
佐藤建設工業の佐藤義輝会長は「ちゃんとした処分場があれば、岩手、青森県境のような産廃問題は起きない。環境保全の立場に立って住民の理解を得た上で、県民の財産になる安全な施設をつくりたい」としている。
アルバ環境開発は昨年12月、地元向けの住民説明会を開催。埋め立て地には汚水漏れを防ぐ遮水工事を施すほか、埋め立て地から出る浸出水については、処理施設を建設して環境基準を満たす水質に処理した上で、すぐ近くを流れる瀬月内(せつきない)川に放流することなどを説明した。
この建設計画に対し、地元住民は「晴高地区生活環境を守る会」を結成。「環境汚染や、農作物への風評被害の心配がある」として、建設反対を訴える要望書と住民710人分の署名を今月19日に山本賢一町長に提出した。
瀬月内川からは地元農家らが農業用水を取水しているほか、同川には町水道の取水施設もある。
同町晴山でアイガモ有機農法による稲作栽培をする古里斉(ひとし)さん(46)は「川の下流で米づくりをする者にとって迷惑な話。川に水を放流する以上、有害物質が絶対に流出しないという保証はない。非常に不安だ」と話す。
アルバ環境開発は3月にも、処分場建設に必要な事前協議書を県に提出する予定。これに先立ち、守る会は今月25日、知事あてに建設阻止の要望書を出す方針だ。
出典:朝日新聞