産業廃棄物:大津へ“大動脈” 京阪神から年200万トン--初調査で市 /滋賀
2010/05/10
ニュース
◇不法投棄、監視強化へ--3ルート土砂も
京阪神エリアの産業廃棄物や土砂が大津市内に年間最大200万トン運び込まれていることが同市の初の調査で分かった。
通行料がいらない湖西道路(国道161号)など3ルートが主要搬入路になっていた。市は効率良くダンプカーを往復できる「稼げるルート」になっているとみて、不法投棄がないかなど、監視強化に乗り出す方針だ。
調査は昨秋から今年3月にかけ、京阪神からアクセスのよい大津市内に持ち込まれる産廃や土砂の量を調べた。不法投棄が多い4市域ごとに、調査チームが20カ所で大型車の通過台数や積載量を半月間にわたって記録し、コンサルタント会社が分析した。
その結果、搬入量は年間最大202万トン(産廃67万トン、土砂135万トン)、大型ダンプカー23・8万台分とはじき出された。京都府とつながる国道161号▽同367号▽県道大津南郷宇治線の3ルートが、年間最大157万トン運ばれる「大動脈」となっていることが判明。名神高速など有料道路は少なく、無料で走りやすい一般道路が狙われた形だ。
県境を越えた廃棄物や土砂でも、適正に処分されれば問題ない。しかしアクセスの良さは不法投棄誘発のリスクがある。近年でも▽土建会社経営者(京都府)らによる産廃不法投棄事件(09年、同市和邇北浜)▽造園業者(京都府)による産廃不法投棄事件(06年、同市石山内畑町)など後を絶たない。
湖西道路真野インターチェンジ(大津市真野大野)へは京都市東部から30分。地元自治連の田中節生・元副会長(68)は「『京都の奥座敷』なんて、そんないいもんじゃない」と話す。
道路は05年8月に無料化され、直後に大型車の交通量は約5・5倍に激増した。廃棄物を積んだダンプカーが頻繁に行き交い「深夜も風圧で障子がカタカタ鳴るんです」という。
大津市不法投棄対策課は「市内が産廃・土砂の受け皿になっているのは事実。市民のため監視を強化したい」としている。
出典:毎日新聞社