産廃違法処理 管理票、業者に丸投げ 2病院を堺市が行政指導
2008/04/14
ニュース
大阪や奈良の公立病院が産業廃棄物を一般ごみとして違法処理していた問題で、堺市立堺病院(堺市堺区)と大阪労災病院(同市北区)が、排出事業者に義務付けられている「産廃管理票(マニフェスト)」の交付を、汚泥などの産廃処理を契約した民間業者に委任していたことが12日、分かった。
堺市は3月末、廃棄物処理法違反(委託基準)として、2病院に改善を指示する行政指導を行った。
2病院は「産廃の処理自体は適正で問題ないが、手続きが面倒だった」と釈明しているが、収集から最終処分までの流れを把握するマニフェスト交付を業者に“丸投げ”していたことは、公立病院の産廃処理に対する無責任さを改めて浮き彫りにした。
大阪府立3病院などが産廃を違法処理していた問題を受け、堺市が公立病院の産廃の処理方法などを調査する過程で、2病院の違法が発覚した。
市環境指導課は3月31日付で、産廃処理の委託契約の改善を命じる指導書を出した。
堺市によると、堺病院は移転した平成8年10月以降、大阪市内のメンテナンス業者に排出した汚泥などの産廃の処理を業務委託。
処分責任者に当たる「排出事業者」に登録した上で、管理票の作成と交付を任せていた。
労災病院は10年ごろから、同様のケースで大阪市内の業者に管理票の発行を指示。
また、特別管理産廃に指定されている有害物質のキシレンなど有機塩素化合物を処理する際、業者と文書による委託契約を交わしていなかった。
堺病院の担当者は「病院の設備上の都合や人手不足から、管理票の発行業務を業者に任せた。
違法と認識していながら楽な手段を踏襲していた」と説明。
大阪労災病院の担当者は「煩雑な業務は長年手慣れた業者に任せていた。
排出事業者としての責任を甘く考えていた」と謝罪した。
2病院は今後、管理票を交付する担当職員をそれぞれ配置し、「管理責任者として今後は適正に処理する」としている。マニフェスト制度は10年に国が導入。
排出事業者が運搬、処理の事業者の名称や住所、産廃の種類などを記載して発行。
収集運搬から中間業者を経て、最終処分場まで契約通りの適正処理を確認する仕組みになっている。
5年間の文書保管が求められ、すべての産廃処理に発行が義務付けられている。
虚偽記載には6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金などが科せられる。
堺市環境指導課の石津孝一課長は「業者任せはマニフェスト制度を形骸(けいがい)化させる行為で、排出事業者としての責任を放棄している。
関係先の病院に適正処理の啓発を徹底したい」と話した。