環境省、廃棄物関連の温室ガス排出量を緊急調査
2009/07/07
ニュース
廃棄物の処理や抑制に伴って発生する温室効果ガスの排出量について、環境省が全国規模の緊急調査を行うことが明らかになった。「京都議定書」で 2008~2012年中の平均排出量を1990年比で6%削減することを約束した日本だが、目標達成が難しい情勢のため、「排出削減対策を総動員する必要がある」と判断。調査結果に基づく廃棄物部門の温暖化対策を、目標達成に生かしたい考えだ。
日本の2007年度の排出量は二酸化炭素換算で13億7,400万トン。基準年の排出量(12億6,100万トン)を9.0%も上回った。この結果、国内対策による削減に加え、森林吸収源や途上国支援といった方法で排出枠を得る京都メカニズムの活用に迫られている。
今回の調査は、国内対策の強化の一環として、廃棄物部門からの温室効果ガスの正確な算定を目指そうというものだ。
具体的には、業種や業界ごとの調査手法を決めたうえで8月以降、47都道府県に統一した調査手法や調査項目を提示。都道府県から報告を受けた環境省が2010年度中に廃棄物統計データとして取りまとめる。そのデータを、京都議定書の約束期間内の2011年に行う温暖化対策に役立てたい考えだ。
すでに政府は、廃棄物部門の削減対策として2010年に二酸化炭素換算で約780万トン削減する目標を掲示。建設資材の再資源化など「排出抑制」「再使用」「再生利用」の各段階で温室効果ガス排出量減少につながる廃棄物対策を進めている。
これまでも、廃棄物部門の排出量集計をめぐって国と各自治体は連携を図ってきた経緯がある。しかし、各自治体の吸い上げる情報をもとに国が出す統計値と、産業界などが算出するデータとの間にかい離がみられていた。これは全国の自治体間で事実上、「情報の精度」に大きな差があったためで、さらに公表時期の遅れといった問題も顕在化。「廃棄物部門で実施する削減対策にデータをスピーディーに反映できない」ことが問題視されていた。
環境省としては、財政力の弱い地帯も緊急調査を行えるよう、調査にあたって民間企業が自治体をサポートできる仕組みなども整えることにしている。
出典:エコロジーシンフォニー