消火器回収へリサイクル料前払い制検討 破裂事故多発で
2009/10/13
ニュース
老朽化した消火器の破裂事故が相次いでいるため、消火器業界がリサイクルを促進する仕組み作りに乗り出す。
来年1月からリサイクル料を前払いで購入者に負担してもらい、メーカーが販売店を通じ中古の消火器を他社製品も含めて回収し、再利用する方向で準備している。年約400万本生産される消火器の回収率は現在は5割ほどにとどまるが、将来的に8割程度まで引き上げるのが目標だ。
消火器を設置する事業所や店舗には半年に1回の点検義務があるが、家庭用については特に取り決めがない。リサイクル料を前払いで消費者に負担してもらうことで、再利用への意識を高め、不法投棄や事故の防止につなげる。
日本消火器工業会に加盟するメーカー9社が7月に設立した新会社が、リサイクル料を支払った製品であることを証明するシールを各メーカーに発行。メーカーが出荷時に製品に張りつける。
消火器の販売店約5400店も、同工業会に登録。中古消火器の収集・運搬にあたる。すでに出回っている消火器については販売店が回収する時に料金を受け取り、シールを張ってメーカーに回す。回収された消火器は、メーカーが鉄製のボンベや粉末の消火薬剤などを再利用する。
リサイクル料は未定だが、製品の標準価格(普及型の消火薬剤約3キロの製品で1万6千円程度)に上乗せされることになりそうだ。
現在は、遠隔地などを除くと「2500円前後」(メーカー)の回収料金がかかっている。回収先がわかりにくいのも老朽化した消火器が放置される原因になっているため、シールには回収についての問い合わせ先なども明記する予定。
消火器はこれまで、各メーカーがそれぞれ廃棄物処理を製造者が手がける環境省の広域認定制度の認定を取得し、自社製品の回収を進めてきた。制度的に他社製品は受け付けられず、それが回収率が低い一因にもなっていた。
今回は同工業会が団体として広域認定を取得する方向で環境省と協議中で、他社製品や製造を中止したメーカーの製品も回収できる体制を整える。
日本で普及する消火器は加圧式と呼ばれ、ガスを使い消火薬剤を噴出する仕組み。耐用年数の8年を過ぎて屋外などに放置されると、ボンベなどの腐食が進んで破裂する恐れがある。総務省消防庁によると99年以降、全国で11件の人身事故が発生している(9月末現在)。
先月、大阪市東成区で1人が重体となったほか、福岡県行橋市、愛知県一宮市でも破裂事故が起きている。
出典:asahi.com