残土周囲を検査 不法投棄摘発後手つかず
2011/02/10
ニュース
建設残土が不法投棄されている鹿嶋市大野地区で9日、水質検査が行われた。現場は北浦に近いうえ、残土の周辺には大きな「池」が出現しており、健康被害を危惧する住民団体「残土問題と自然環境を考える会」と、水質浄化で以前のような豊漁を願う「きたうら広域漁協」が連携して市を動かし、実現した。
埋め立てられた不法残土の面積は約3万平方メートル。埋め立てが始まったのは10年以上前で、業者は無許可だった。行政が再三、行政指導したが無視し続けた。2007年に警視庁が強制捜査し、業者は産業廃棄物の不法投棄で起訴され、服役している。
この間、周辺住民から「臭い」「不衛生だ」などと苦情が市に寄せられた。が、埋め立て地の実質的所有者が服役していることなどから、行政が手を出せず、水質検査も行われずにいた。
昨年秋、考える会と漁協が連携。1月、鹿嶋市に水質検査を要望し、北浦や、同地区から北浦へ流れ込む用水路で検査を実施したが、結果は「特に問題なし」だった。
だが、両者は「残土周囲も検査すべきだ」と要求。今回、「池」の水と泥を検査することになった。
あたりはかつて水田だったといい、用水路の一部がせき止められて「池」になった可能性もあるという。水質検査に同行した漁協役員の中には初めて見た人もおり、「汚染水の池になっているのでは」と驚いていた。
検査結果は2週間後には出る見込みで、会と漁協が連名でデータの写しを市から受け取ることになっている。
考える会の立原勝男会長は「不法残土は10年以上たって汚染物質が流れ出すというから、しっかり監視していかなくては」と話す。漁協大野支部の北崎政右衛門支部長は「上流で残土が捨てられるようになり、下流の北浦は漁が激減した。湖は飲み水にもなっているんだからもっと深刻になるべきだ」と行政への不信感をあらわにした。
出典:asahi.com