横浜市:みどり税導入 5年間、市民税に年900円上乗せ
2008/12/15
ニュース
横浜市が緑の保全のために導入する新税「横浜みどり税」の条例案が、12日の市議会本会議で可決・成立した。市民税に上乗せし、樹林地の買い上げなどの財源とする。環境目的の超過課税は全国の市町村で初めて。経済情勢悪化を受け、09年度与党税制改正大綱で「環境税」導入や消費税率引き上げ時期の明記が見送られる中、横浜は「緑」を旗印に増税に踏み切る。
09年度から5年間、個人は年900円、法人は資本金額や従業員数などで算出する年間均等割りの額の9%(4500~27万円)を市民税に上乗せする。年間24億円の税収を見込み、相続などで維持が困難になった樹林地の買い上げや植樹事業などに充てる。市によると、市の総面積に対する緑地面積の比率は70年に50%だったが、04年は31%に減少している。
市が今年8月、市民にアンケートした結果「負担してもいい」「金額によっては負担してもいい」との回答が79%に上った。これを受け、当初は上乗せ額・率を個人1100円、法人11%とする方針を示した。しかしその後、米国発の金融危機の影響で経済情勢が急速に悪化。市が11月まで募集した市民意見では、「新たな税負担は理解できない」「歳出削減に努力すべきだ」など否定的な意見が過半数(51%)を占めた。
このため、上乗せ額・率を引き下げ、赤字法人を2年間、課税対象から除外する規定も設けた。市議会の審議では「時期尚早」との意見が相次いだが、最大会派の自民が市に行政改革の推進などを求める6項目の付帯意見を付けることを提案、自民、民主などの賛成多数で可決した。
中田宏市長は本会議後、「経済対策と合わせて、将来の緑の保全にも手を尽くさなければならない」と新税の意義を強調した。
都道府県レベルでは、これまで神奈川や秋田など29県が森林や環境の保全を目的とする住民税への超過課税を導入していた。また、北九州市は03年から、産業廃棄物の最終処分業者に法定外目的税を課している。
出典:毎日新聞