横浜市資源循環公社、11億円で随意契約
2013/10/22
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横浜市の外郭団体「横浜市資源循環公社」(中区)が、市から年間委託料約18億円で請け負っているリサイクル事業のうち、缶やペットボトルの仕分けを行う約11億円の事業を民間の2事業者に、随意契約で再委託していることがわかった。専門家は「市の財政が厳しい中、競争原理の働かない随意契約は見直すべきだ」と指摘している。(板垣茂良)
市のリサイクル事業は1993年3月、市が全額出資する同公社に委託する形で始まった。現在は、市が所有し、同公社が管理運営する市内4か所の資源選別センターで、家庭から出された缶、瓶、ペットボトルの仕分け作業が行われている。毎年約5万6000トンが処理され、市は売却収入として毎年約9億~12億円を得ている。
同公社によると、公社の契約規程では競争入札が基本とされているが、随意契約は事業開始当初から続けられている。また、市の外部有識者がまとめた2007年度の包括外部監査報告書は同公社について、「再委託契約のうち随意契約の占める割合が高止まりしている」と指摘している。
市資源循環局によると、市から同公社に支出されるリサイクル事業の委託料は12年度で約18億3300万円。同公社は委託料から、公社に再就職した市OB職員らの人件費(約2億300万円)や、センター4か所の修繕費(1億4600万円)などで約6億2700万円を必要経費として差し引き、約12億600万円をリサイクル事業の再委託料としている。
このうち、約1億2900万円はセンターの清掃業務の再委託で、競争入札で業者を決めたが、約9割にあたる約10億7700万円の仕分け作業は、廃棄物処理組合(横浜市神奈川区)と廃棄物処理会社(同金沢区)にそれぞれ全額を随意契約し、市も承認した。
同公社は随意契約を行う理由について、07年度に4か所のうち1か所で試験的に競争入札に切り替えた際、落札企業の作業効率が落ちたことを挙げ、「リサイクルはきれいに仕分けないと品質が落ち、引き取り価格が下がる。手作業で行う工程が多く、経験を積んだ業者に請け負ってもらう必要がある」と説明する。
外郭団体の経営問題に詳しい日本総研の河村小百合主任研究員の話「事業の開始時期から20年が過ぎ、リサイクル事業に参入する企業も増えている中、随意契約を続けていること自体が税金の無駄遣いにあたる。すぐに見直すべきだ」
出典:読売新聞