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春日井で「事業ごみ」排出量激減 不法投棄防止へ監視強化

2010/06/07

ニュース

 オフィスや商店から出る「事業ごみ」の排出量が春日井市内で激減し、2009年度はピークだった07年度に比べて半分以下となった。

 背景にあるのは、事業ごみを受け入れている市の処理施設の監視強化だ。専門業者に任せるべき産業廃棄物を混ぜ込み、処理費用を安く済ます-といった不法投棄事件が昨年相次いだことを受け、市が取り組んだ再発防止策が功を奏したとみられる。

 市内のごみ排出量は05年度に13万9500トンだったが、09年度は10万4600トンまで減った。このうち事業ごみは07年度に初めて5万トンを超えたものの、09年度には2万2300トンまで減少している。

 不況のため多くの自治体で事業ごみは減少傾向にあるものの、春日井の減少幅は突出している。市運営のごみ処理施設「クリーンセンター」(神屋町)で実施した搬入業者への監視強化の成果といえる。

 この施設では昨年2月と5月、2つの業者が木くずなどを不法に捨てたとして廃棄物処理法違反で摘発された(うち1業者は不起訴)。当時は違反を察知する仕組みがほとんどなく、事業ごみに産廃を混ぜて持ち込んでいる業者の実態が明らかになった。

 このため市は同7月、ごみを落とし込むピットに監視カメラ2台を設置し、収集車の様子を常時録画して、違反現場の証拠を押さえて指導できる態勢を整えた。

 さらに、監視員による搬入物検査も大幅に増やした。08年度は6回だった検査を、県の緊急雇用対策を活用することで昨年末からは毎日実施した。その結果、08年はなかった違反業者に対する指導は、昨年は16件に上った。

 また「一般ごみと産廃の違いが分かりづらい」という業者側の声に応えて、市は説明会などを通じて指導に努めている。

 クリーンセンターの鈴木元幸所長は「最近は業者側から『これは持ってきていいのか』と尋ねてくるようになった。かなり意識が変わった」と変化を実感する。

 今後の焦点は、全体の7割を占める家庭ごみをいかに減らすかだ。

 市内では昨年4月からレジ袋が有料化となり、年間で187トンが削減された。さらに今年10月からはプラスチック製包装の分別収集も試験的に始まる。市ごみ減量推進課の岩瀬敏記課長は「余分なものはもらわない、使わない、捨てないという意識を広めていきたい」と話している。

 記者の目 不法投棄事件を受け、市が実効性のある対策を取ったことは評価できる。だが、業者への指導は比較的容易だ。家庭ごみの減量は市民一人ひとりの意識が問われるだけに、市には丁寧な説明と粘り強い取り組みが求められる。

出典:中日新聞

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