愛鷹山麓産廃、県が撤去 不法投棄の業者「費用ない」 静岡
2011/11/21
ニュース
沼津市西野の愛鷹山麓(さんろく)に大量の産業廃棄物が不法投棄されている問題で、県は17日、投棄した業者が産廃撤去の措置命令の期限である16日を過ぎても着工しないことを確認。行政代執行により一部を撤去することを発表した。撤去費用は10億円にのぼるとみられる。
県によると、沼津市内の産廃処理業者が平成12年から16年にかけ、廃プラスチックや木くずなどの産廃約23万立方メートルを不法に埋め立てた。当時の同社代表ら4人は廃棄物処理法違反容疑で逮捕、起訴されて刑事処分を受けている。
県は、投棄された廃棄物と土砂が崩壊する恐れがあることと、環境保全の観点から、元代表らに撤去を求めて今年9月に措置命令を出していた。
しかし、業者は撤去作業の着工期限を過ぎても着工せず、元代表らは「費用がなく、撤去できない」と書面で県に伝えてきたという。
2日には、地元生活環境への影響などを調査していた専門家による同問題の対策検討委員会が、「大規模地震時に南側斜面が崩落する恐れがあり、廃棄物から硫化水素などのガスが発生している」として対策の必要性を県に提言した。
これを受け、県は行政代執行に踏み切ることを決定。南側斜面を安定させるために4万立方メートルを撤去するほか、雨水による浸食や浸透防止の排水路と廃棄物内からガスを抜くための管を設置する。
撤去作業は24年度中に着工し、25年度末の完了を目指す。撤去費用は約10億円が見込まれ、まず崩落防止対策工事の設計費を県議会12月定例会に計上する予定。一方、県は元代表らに行政代執行の撤去費用を請求していく方針だ。
出典:産経ニュース