廃タイヤ4万本撤去始まる すさみ(和歌山)
2009/01/13
ニュース
すさみ町周参見沼田谷地区で10日、野積みして放置されていた廃タイヤ約4万本の撤去作業が始まった。地権者が町に土地を寄付したことを受け、町が社団法人日本自動車タイヤ協会の支援金と県の補助金を受けて実施する。3月下旬に完了する見込み。付近の住民は、廃タイヤの内部に水がたまり蚊が大量に発生したり、火災の発生を心配したりして悩まされてきた。橋本明彦町長は「県の協力を受け、長年の課題が解決に至りよかった」と話している。
廃タイヤは、1980年ごろ現地でウナギの養殖を始めた業者が、水を沸かすために燃料として使っていた。
付近の住民や町によると、当初は木材を燃やしていたが、産業廃棄物処理業も兼ねる業者が、20年ほど前から廃タイヤを燃やすようになった。業者はその後倒産し、2001年ごろから行方不明になったという。廃タイヤが放置されたままになり、付近住民らが撤去を求めていた。
県と町が、03年の競売で土地(1950平方メートル)を取得した新たな所有者と廃タイヤの管理について話し合いを続け、08年8月に所有者から町に土地を寄付する申し出があったという。
その後、町は日本自動車タイヤ協会の支援金と県の補助金を受け、撤去することになった。総事業費は約980万円で、日本自動車タイヤ協会の支援金が約655万円、残りは県と町が半分ずつ負担する。
10日は朝から委託を受けた産業廃棄物処理業者(和歌山市)が作業にあたり、いったん2トン車で廃タイヤを近くの空き地に運び、大型トラックに積み替えて搬出した。
廃タイヤは製鉄会社ですべてリサイクルされるという。
現場近くに住む大江フヂエさん(74)は「草刈りをするのにも携帯用蚊取り線香を体の両側につけたが、それでも追いつかないほど大量の蚊に悩まされてきた」。付近でミカンを栽培している古田チサさん(85)も「あまりにも蚊が多いので怖かった。農作業が楽になる」と喜んでいる。
出典:紀伊民報