広がる食用油リサイクル せっけんや農業用燃料に
2013/02/04
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使用済みの食用油(廃食油)が、せっけんなどに活用されるようになってきた。
東京都豊島区は昨年4月、区民から回収している廃食油を再加工した手洗いせっけんを庁舎のトイレに導入した。東京23区の自治体では初の試み。洗面台にリサイクルのせっけんであることを表示、環境問題の啓発にもつなげる。
ハンバーガーチェーンの「フレッシュネスバーガー」は、店舗から出る廃食油が原材料の「地球にやさしいせっけん」(1個250円)を昨夏から販売している。ミルクの優しい香りで、洗顔にも使える質の良さが特徴だ。
居酒屋チェーンの「和民」も、廃食油で作った手洗い用せっけんを、店舗のトイレで使っている。
これらのせっけんの再加工を手がけているのは、東京都北区の「ヱスケー石鹸せっけん」。
従来、廃食油のせっけんは不純物が残ったり、見た目や手触りが良くなかったりするものが多かったが、同社では油の精製業者らと共同で不純物を除去する技術を2002年に確立。改良を重ね、06年には見た目や香りが通常のせっけんと変わらない現在の商品ができた。コストはややかかるが、商品価格は通常のせっけん並みに抑えており、「関心を持つ自治体や企業が増えている」と営業部長の立花静さんは言う。
有機野菜の宅配事業などを行う「大地を守る会」(千葉市)では11年から、顧客の家庭から回収した廃食油をディーゼル燃料に加工している。契約農家がトラクターなどに使い、その畑で作られた野菜を、同社で販売する。「リサイクルの最終形が商品として返ってくる点に利用者も共感している」と担当者はいう。
出典:読売新聞