岩手側34万トン撤去完了・・・県境産廃投棄
2013/01/10
ニュース
1990年代までに二戸市と青森県田子町にまたがる原野約27ヘクタールに大量の産業廃棄物が不法投棄された問題で、岩手県側の廃棄物約34万2000トンの撤去が7日に完了していたことが分かった。2004年8月の掘削開始から約8年半で、長年の課題が一つの区切りを迎えた。県は年度内に廃棄物の搬出と処分を終え、13年度から5年をかけて汚染地下水の浄化を進める。約114万9000トンが投棄された青森県は13年度中の撤去完了を目指す。
現場は二戸市上斗米(16ヘクタール)と田子町(11ヘクタール)の一帯。不法投棄された廃棄物は、容積にして東京ドーム0・9杯分の約109万立方メートルに及んだ。
国内最大規模の不法投棄事件として、01年には盛岡地裁が産廃処理会社社長に有罪判決を下したほか、この問題を機に、環境省は03年、「不法投棄未遂罪」の創設など廃棄物処理法の規制を強化した。
二戸市側の廃棄物ついて、県は02年に産業廃棄物緊急特別対策室(現・廃棄物特別対策室)を11人態勢で発足させて撤去の準備に着手。04年8月から地中に埋められた廃棄物の掘削を始めた。
撤去過程の調査で判明した排出元の事業者は約1万2000社(本県側は約5200社)に上り、9割近くが首都圏からの持ち込みだった。そのうち本県側で法令違反が明らかになった事業者は26社で、知事名で撤去命令や費用納付命令の行政処分が出されたほか、30社は自主的な撤去や費用拠出に応じた。
現場作業員の人件費や設備費などの費用総額は、青森県側が約496億円、本県側が約220億円。排出事業者による一部負担を除き大半が公費で、このうち約6割は03年に制定された特定産業廃棄物特別措置法に基づき国が負担している。
本県側では昨年12月下旬に掘削が終了し、今月7日に廃棄物が残っていないことを確認。今後は有害物質「1・4―ジオキサン」に汚染された地下水の浄化作業が必要で、17年度までに完了させる予定という。県廃棄物特別対策室の谷藤長利室長は「作業がすべて終わったわけではない。気を緩めずに引き続き原状回復に努めたい」としている。
青森県によると、汚染土壌を含む廃棄物約114万9000トンのうち、昨年12月末までに約102万トンの撤去を完了。来年度中に全量の撤去を終了する予定で、21年度までに地下水の処理、22年度中に原状回復を終える見通しという。
出典:読売新聞