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家電リサイクル制度 違法な回収ルートなくせ

2014/08/25

ニュース

 使用済み家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)のメーカー引き取りと再商品化を義務化した「家電リサイクル制度」を5年ごとに見直す国の検討が本格化している。リサイクル料金の引き下げや徴収方式、後を絶たない回収後の不適正処理と不法投棄防止など問題は山積みである。制度の高度化を図り、適切な循環型社会を築かなければならない。

 ■論点は費用の徴収方式■

 2001年度に始まった制度は、自治体が処分するごみの量を減らし、最終処分場の延命に役立ってきた。廃家電から回収される鉄、銅、アルミニウムなど、都市鉱山と呼ばれる資源の有効活用、リサイクル技術の進展や使い終えた製品に関連する「静脈産業」の育成にも貢献してきたと評価できる。

 見直しの主な論点の一つが、不法投棄を招いていると指摘されるリサイクル費用の徴収方式である。現行の「後払い方式」では捨てる物にお金を掛けたくない消費者が無料で引き取る無許可業者に持ち込んだり、不法投棄するケースが後を絶たないからだ。

 環境省調べで4品目の不法投棄は数年来、年間10万台超の状態が続いている。後始末は自治体が行い、費用には税金がつぎ込まれる。どの自治体も負担と捻出に苦慮しているだろう。

 ■流出国で環境汚染誘発■

 違法業者への引き渡しは、その後の不適切な処理や海外流出につながっている。家庭・事業所から出された4品目は12年度の場合、約1700万台。このうち製造業者に持ち込まれリサイクルされたのは67%。残りは主に中古品で流通するが、破砕しただけのスクラップとして海外に売却された分が8%ある。

 ところが流出先の中国などで環境設備が不十分なため、深刻な大気や水質汚染を引き起こしている。リサイクル料金の徴収を製品購入時の「前払い方式」にした方がいいとする意見が根強いのもこのためである。

 今回は現行の後払い方式が一定の成果を挙げているとし、不法投棄などは個別対応することで見送られたが、次回は導入へ踏み込んだ議論を望みたい。

 高いリサイクル料金も問題視されている。06年度の見直しではリサイクル費用の透明性と料金引き下げが提言された。19年度以降は実績と内訳が公表されるようになり、料金もエアコンが当初の半分以下、テレビと冷蔵庫は大・小区分した料金設定となった。それでも不法投棄、不適正な処理はなくならない。

 ■消費者も適正な排出を■

 国が協力して、メーカーの料金引き下げを検討すべきだ。費用の一層の透明化も必要だろう。自治体の不法投棄の監視強化へ支援も充実したい。

 施行から13年たっても消費者の理解度、認知度は十分とはいえない。廃棄しやすく納得感ある制度へ改善し効果的な普及・啓発を進めることだ。リサイクルの入り口に立つ消費者も適切な排出が円滑運営を支えることを自覚しなければならない。

 無料あるいは安く廃棄できるからと違法な回収業者を利用すれば、国内外の環境破壊に加担することになる。現に空き地や港にある廃家電のスクラップの山では火災が頻発し、消火のため無駄な税金も使われている。

 無許可の回収業者の存在は廃棄物の非正規ルート拡大につながり、リサイクル料金を負担している消費者との不公平を招く。正直者がばかを見ず制度の形骸化を防ぐために、まず違法な回収ルートをなくすことから徹底してほしい。

出典:福井新聞

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