奥州の産廃最終処分場:20年度末で満杯に 震災がれき受け入れで /岩手
2012/09/18
ニュース
奥州市江刺区の産業廃棄物処理施設「いわてクリーンセンター」の最終処分場が、震災で発生した災害廃棄物の受け入れに伴い、2020年度末に満杯になる見通しとなっている。同センターは実質的に県内で唯一、地下水汚染の恐れがある産廃を埋め立てられる施設。県は新処分場の建設に向け来年度中に候補地を選定する方針だが、住民合意など課題も多い。
県によると、いわてクリーンセンターは、焼却灰や汚泥など地下水汚染の恐れがある産廃を埋め立て可能な「管理型」の最終処分場で、県や県産業廃棄物協会などが出資した財団法人が95年から運営を開始。県内には管理型の最終処分場は5カ所あるが、4カ所は製造業者の自社専用で、外部からの産廃を受け入れられるのは同センターのみ。
震災後、センターは震災で発生した災害廃棄物(がれき)の焼却灰10万トンの受け入れを決定。11年度は4万3325トンを受け入れ、通常の産廃と合わせると受け入れ総量は、10年度の2倍以上の計8万4010トンに上った。がれきの焼却灰の処理では、放射能汚染対策として通常よりも多くの土で覆う必要もあり、現状のペースで10万トンを受け入れた場合、最終処分場は当初の計画から4年ほど早い21年3月に満杯になる。
こういった状況を受け、県産業廃棄物協会は6月、県に対して新処分場の確保を求める要望書を提出。県も今月3日に同協会など関係団体と共に最終処分場整備の検討委員会を設置した。同委員会では、環境アセスメントや建設に計6年を要するとの試算から、今年度中に、埋め立て年数と容量▽対象となる廃棄物▽運営主体--などの整備に向けた基本方針を策定し、13年度中に候補地を選定する方針を決めた。
ただ、建設には地元との合意形成の難行も予想される。実際、民間業者による最終処分場の建設計画が持ち上がった軽米町では先月末、同町や周辺の自治体が県に建設を許可しないよう求める要望書を提出している。県資源循環推進課は「新たな処分場の建設が必要なことは確かで、課題を整理しながら計画策定を進めたい」と話す。
出典:毎日新聞