奈良でも県立2病院で産業廃棄物を違法処理
2008/03/21
ニュース
公立病院の産廃違法処理問題で、奈良県立三室病院(三郷町)と五條病院(五條市)が透析排水や汚泥などの産業廃棄物を一般ごみとして処分していたことが19日、分かった。違法処理は最長36年間にわたり、県の調査で2病院とも「産廃との認識がなかった」と説明しているという。産廃処理をめぐる公的機関の認識不足がまたも露呈した。
県によると、2病院は化学物質を含む透析排水と屎尿(しにょう)を同じ排水管に接続し、浄化槽で処理。汚泥と液体を分離させた後、液体は無害化処理して河川に流し、汚泥は産廃との認識がないまま一般ごみとしてポリ袋に入れて捨てていたという。
五條病院は昭和47年、三室病院は54年に開院。レントゲン撮影で使用した放射線を含む排水などは専用の貯水槽で入れた後、産廃処分業の許可を持つ委託業者に処分を任せていたが、透析排水については開院当初から一般ごみとして処理。正確な排出量は不明という。
大阪府立3病院で違法処理が発覚した後、県が実施した公立病院の調査で判明。県医大・病院課は「現状では廃棄物処理法に抵触するため、4月以降は産廃業者に委託するよう指導した」としている。
奈良県立の他の2病院については、適正処理が確認されたという。
一方、大阪府立5病院を運営する府立病院機構は19日、府立呼吸器・アレルギー医療センター(羽曳野市)も同様の違法処理をしていたと発表した。
同機構は当初、同センターは適正に処理していると発表していたが、その後の調査で違法処理が判明。排出量は推計で約170トンに上るとみられるが、最終処分先は不明で、府は業者から聞き取り調査する。
同機構によると、同センターは昭和54年から松原市の清掃業者と随意契約し、処理を委託。業者は産廃処分業の許可を持っていなかったが、年1回汚泥などを回収し、最終処分まで請け負っていた。
昨年2月、この業者からの申し出で、違法が発覚。その後、管理票を発行するなどして適正に処分したが、関係機関への報告は怠っていたという。
同機構の野口雅昭・経営企画マネージャーは「業者から処理方法を変更するという申し出があったときに報告があれば、他の病院の処理を確認することもできた。連絡体制が徹底できていなかった」と謝罪した。
出典:産経ニュース