大阪市、焼却やめ古紙分別導入
2013/09/30
ニュース
◇来月から、年間10万トン再利用
10月にスタートする古紙の分別、リサイクルを前に、大阪市のごみ処理工場に持ち込まれる古紙は駆け込みで増えている。現在、ほかのごみと一緒に焼却処分されている(大阪市此花区で)
大阪市は、市内でのごみ処理量が年13万トンに上る古紙について、10月1日からごみ処理工場での焼却処分を打ち切り、全家庭と全20万事業所に分別とリサイクルを求める。市内のごみ排出量115万トン(2011年度)の1割にあたる古紙の資源回収を徹底することで、15年度には年100万トン以下にごみを減量する狙いだ。近畿の政令市では初めてで、市はPRに躍起だ。(清永慶宏)
市内のごみ排出量は、再利用する資源ごみの分別などに取り組んだ結果、ピーク時の1991年度からほぼ半減した。古紙の焼却処分打ち切りは、リサイクルを拡大し、さらにごみ減量を進める切り札だ。
古紙は現在、家庭の「普通ごみ」、事業所の「一般ごみ」として、市のごみ処理工場に持ち込まれ、焼却処分されている。家庭が年5万トン、事業所が年8万トン。市は、分別とリサイクルで、汚れが少ない計10万トン程度をトイレットペーパーなどに再利用できると試算する。
10月から古紙の焼却処分を打ち切ることで、ごみ回収のルールが一変する。
家庭ごみでは、都島、生野など6区で先行実施している「古紙・衣類」の分別収集(月2回)を全24区に拡大する。市が収集した後、民間業者にリサイクルを委託する。
回収対象は、新聞・雑誌、紙パック、段ボールを始め、ダイレクトメールやコピー用紙、シュレッダーで裁断した紙、はがき・封筒、メモ用紙などで、家庭内での分別が欠かせない。
これまで市の焼却施設で処分していた事業所も、こうした古紙について、リサイクル業者などに持ち込んだり、回収してもらったりしなければならなくなる。
課題は、分別の普及だ。
2月から先行実施している生野区の町会長(70)は「一人暮らしの高齢者まで浸透するには、まだ時間がかかる」と話す。
市は、全世帯に広報紙やチラシを配布してPRしているほか、事業所向けにビルメンテナンス協会などを通じ、説明会を実施。リサイクル業者などをホームページで紹介している。
◇業者ら「チャンス」
大阪市が古紙の分別、リサイクルに乗り出すことで、「商機」が広がる。
市内の古紙回収業者は「9月に入って、事業所からの問い合わせが続いている。事業拡大のチャンスだ」と期待する。
愛媛県内の製紙会社など8社でつくる「愛媛パルプ協同組合」の大阪事業所(大阪市住之江区)は「これまで焼却されていた古紙が大量にリサイクルに回ることで、効率よく調達できるかもしれない」という。
出展:読売新聞