大量の畳 野ざらし
2010/04/23
ニュース
80代男性「土地に混ぜ込み肥料に」 静岡市、原状回復求める
静岡市葵区北沼上の山間地に大量の畳が不法投棄され、放置されたままになっている。畳を捨てた廃棄物処理法違反容疑で、県警は3月に静岡市内の80歳代の男性を静岡地検に書類送検した。
現地で調査を行った市によると、土壌汚染などは確認されていない。市は男性に対し、畳を撤去して原状回復を図るよう求め続けている。
捜査関係者や市によると、男性は2009年末、自分が所有する同市葵区北沼上の土地に、畳約685立方メートルを許可なく投棄した疑いがもたれている。
遺棄現場付近の住民から09年12月15日に、「重機が入って何かしている」との通報が市にあり、市職員が現地に出向いたところ、大量の畳が置かれていた。
10年1月初旬に市が再度確認に行ったところ、放置された畳の上に土がかぶせてあり、男性が知人にトラックを運転させて畳を運ばせたうえ、重機を使って地面を掘り返し、畳を埋めていた。このため市は、畳を撤去するよう2月1日に文書による行政指導を行うとともに、県警に通報した。
市職員に対し男性は、「産廃業者の知人が数年前、処分を受け入れた大量の畳を私の土地に置いてほしいと頼んで置いていったが、その後その知人の行方がわからなくなった。畳を土地に混ぜ込んで肥料にして、畑にするつもりだった」などと話したという。
投棄された畳の量について、男性は「3000枚くらい」と話したが、捜査関係者は「もっと多いはずだが、形が崩れており、正確な枚数は確認できない」としている。
男性は、今回の北沼上のほかにも市内に複数の土地を所有し、北沼上の大量の畳は以前はこれらの土地に分けて保管していたものだという。ただ、市によると、男性が畳を置いていた土地の周辺住民から数年前、「畳から虫がわく」などの苦情が寄せられ、市は男性に対し適正に保管するよう求める行政指導を行っていたという。
市は2月9日に土質調査を行ったが、特段の問題は見つからなかったという。
しかし、県廃棄物リサイクル課は「一般論だが、最近の畳に使われているウレタン素材や金属製のビスなどは土に戻らないうえ、防虫剤を使った畳であれば薬が地中に漏れ出す可能性もある。夏場になれば腐敗が進み、大量に虫がわいてきてしまう」と指摘している。
出典:読売新聞