国内最大級の分級洗浄/生成物を100%リサイクル/鹿島
2013/12/03
ニュース
鹿島は、宮城県から受託した石巻ブロック災害廃棄物処理業務で国内最大規模となる約57万tのふるい下と津波堆積物を分級洗浄処理し、処理後に発生する生成物の100%リサイクルを実現した。全国的な処分場不足が懸念される中、この実績を生かし、廃棄物の減容化技術への応用なども視野に入れ、今回のノウハウをもとに技術的な検討を進めていく。
鹿島を代表とするJVが受託した石巻ブロック災害廃棄物処理業務では、全体で314万tの災害廃棄物のうち、混合廃棄物や津波堆積物それぞれの選別や焼却、洗浄など処理を行っており、ことし12月末までに完了する予定だ。
混合廃棄物の中から選別された、ふるい下と呼ばれる細かな木片やごみが多く含まれる30mm以下の土砂と、津波堆積物のうち特定有害物質に汚染された基準不適合のものは、土壌洗浄設備で分級洗浄法を使って処理。洗浄対象量はふるい下が33万t、津波堆積物が24万tの合計57万tで、1日当たり約2000t。
分級洗浄設備は、ふるい下と汚染された津波堆積物を処理する2種類の施設を設置。いずれも処理後に洗浄砂、洗浄礫、汚泥、可燃物を含む廃棄物の4種類に生成し、洗浄後の廃水は、水処理プラントを通じて循環利用しているため、場外に排出されない。
ふるい下のように細かな木片やごみを多く含む廃棄物には、比重差を利用する洗浄分級処理が有効だったが、予想よりも比重、粒径、形状などのバラツキが大きいごみが含まれていたため、急きょこれらを除去する機能を増設。津波堆積物に対しては、いったん分級機で除去した砂分をさらにもみ洗い機に投入し、土粒子のこすりあい作用で砂分の表面に付着する細粒分を除却するなど分級精度を高める工夫を行った。
洗浄処理後の洗浄砂は、国土交通省河川工事のサンドコンパクションパイルに、洗浄礫と汚泥を不溶化処理した汚泥改良材は石巻港の海面埋立材にそれぞれ再利用した。通常、汚泥には有害物質が比較的多く含まれるため最終処分されるが、さまざまな添加剤の検討・試験により、不溶化処理によるリサイクルを実現。可燃物は場内の焼却施設で焼却し、発生する主灰は造粒固化を行い、これも土木資材としてリサイクルしている。
鹿島は、大規模な工場跡地などで重金属に汚染された土壌を浄化した実績があるものの、その際の処理量は多くとも5万t程度だった。今回、かつて経験したことのない膨大な災害廃棄物の土壌洗浄をオンサイトで1年半という短期間に実施できたことで、同社は「除染などを含む今後の大規模な土壌汚染案件への展開が図れる」と考えている。
出典:建設通信新聞