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北泊漁協 組合長ら12人書類送検

2011/05/12

ニュース

 鳴門市の山中に養殖ワカメの茎や根などの廃棄物を大量に捨てたとして、北泊漁協と組合長(74)ら計12人が書類送検された廃棄物処理法違反事件。

 適正に処理してきた生産者がいる一方、一部漁師の間で、不法投棄が常態化していた。昨年の産地偽装に続く不祥事に、「鳴門わかめ」ブランドの信頼回復に向けて、また一つ新たな課題が浮上している。

 「処分代を浮かすため、子どもの頃からやっていた。違法であることも知っていた」。3月15日に不法投棄の現行犯で逮捕された漁師(52)は県警の調べにこう話し、常態化していたことがうかがえる。

 ワカメは収穫後、食用の葉の部分を除く茎や根は捨てられる。元々は根元にあたるメカブも捨てられていたが、美容ブームで再利用が図られ、根だけが残るようになった。市によると、市内には240のワカメ生産者があり、年間6000トンのワカメを生産している。捨てられるのはそのうち数%とされるが、実際には100~200トンにのぼるとみられる。

 県などによると、養殖ワカメの根は事業系一般廃棄物にあたる。古くはワカメの収穫時に根を刈り取ったあと、そのまま海に捨てていた。しかし、約20年前、不法な海上投棄として海上保安部に摘発されたといい、それもできなくなった。以後、山中への不法投棄が始まったとみられる。

 事業系一般廃棄物は、廃棄物処理業者に依頼して有料で処分しなければならない。ある漁協関係者によると、個別に処理業者に頼むと、1生産者あたり年間20万~30万円かかるという。ほかにも養殖設備の更新などで年間30万円近くかかり、養殖ワカメの売上が年間100万円前後であることを考えると、ある漁師は「やっていけるはずない。生産者を潰すつもりか」と戸惑う。

 しかし、費用を負担して適正に処分している生産者もいる。鳴門市北灘町の北灘漁協では、約20年前、近くの山中に捨てていたのを住民から注意されたのをきっかけに、1993年、県の補助を受け近くの粟田漁港内に敷地3800平方メートルにコンクリート製の埋め立て施設を作った。

 各生産者が廃棄したワカメの根などを集め、乾燥させた上で土をかぶせる。パワーショベルのリース代と運転手の人件費などを合わせた処分費用は、年間70万円。同漁協に所属する22業者で折半している。

 県警捜査員は「廃棄物の処理費用も必要経費のうち。適正に処理している業者もいるのだから『金がかかる』は言い訳に過ぎない」と指摘する。

 ワカメの根が捨てられていたのは鳴門市瀬戸町北泊財産区の土地だった。市は「不法投棄が続いていたことは遺憾。巡回していたが気付かなかった。今後はパトロールを強化したい」としている。

出典:読売新聞

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