化女沼、涙 ごみの山 「監視カメラを」の声
2010/08/23
ニュース
宮城県大崎市古川のラムサール条約登録湿地・化女沼への不法投棄が後を絶たない。
登録される前から住民グループが定期的に清掃活動に取り組む一方で、ごみが外部から持ち込まれる状況が続いている。業を煮やした関係者からは監視カメラの設置を求める声も上がっている。
18日、住民団体「化女沼2000本桜の会」のメンバーや古川北中の生徒、県、大崎市職員ら約130人が1時間にわたって化女沼の周辺を歩き、ごみを拾い集めた。
燃えるごみは10袋(1袋45リットル)、燃えないごみは5袋が集まった。空き缶やペットボトル、たばこの吸い殻などに加え、業務用掃除機やタイヤも見つかり、「わざわざ運んで捨てたとしか思えない」と憤る参加者もいた。
化女沼はヒシクイなど水鳥の越冬地。2008年のラムサール条約登録を機に、渡り鳥目当ての観光客が増えている。
桜の会は10年前から冬季を除く月1回、沼の清掃活動を続けている。代表世話人の佐々木哲朗さん(58)は「一生懸命活動しても、1カ月たつと同じ量のごみが出る。化女沼をごみ捨て場にする人たちがいるのは悲しい」と漏らす。
沼の周辺は樹木や草が生い茂り、見通しの悪いエリアが多い。佐々木さんによると、ごみが大量に捨てられるポイントは数カ所あり、「近くに車を止められ、草などで捨てたものが隠れる場所」が狙われやすいという。
住民らでつくる化女沼湿地保全活用研究会では「抑止力が必要」と監視カメラ設置を求める意見も出ている。大崎市の関係者は「県の防犯カメラを無償で1カ月借りられる制度はあるが、その後は自己負担になる。費用対効果を考えると慎重にならざるを得ない」と説明する。
化女沼を管理する県大崎地方ダム総合事務所は「ごみを捨てられやすい場所に重点的に不法投棄防止の看板を立てるなど、新たな対策を検討したい」と話している。
出典:河北新報社