全国初、ごみ分別違犯で過料/横浜市
2009/10/21
ニュース
ごみの分別回収に協力しない市民や事業者への罰則を条例で定めている横浜市は19日、戸塚区のアパートに住む一人暮らしの男性に2千円の過料を科すことを決めた。ごみの分別違犯者への罰則を規定した条例は群馬県富岡市にもあるが運用実績はなく、分別ルールに従わなかったことを理由に「一罰百戒」が適用されるケースは、今回が全国初とみられる。
市によると、男性は今年2月、燃やすごみの収集日に、再利用が可能なペットボトルなどの資源ごみと家庭ごみなどを分別せずに出していたことが市のごみ袋開封調査で判明。市は2月以降、「市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例」に基づき、男性に対して計3回にわたって分別のルールに従うよう「指導」「勧告」「命令」の順に改善を求めた。
しかし、今年7月の命令後の9月にも同様のルール違反が確認されたため、市では「命令後1年以内に分別をしないでごみを出した場合は過料徴収する」との規定に該当すると判断し、過料処分を決めた。決定に先立ち、男性には書面による弁明の機会があることが市側から説明されたが、男性から弁明はなかったという。
罰則制度は2007年9月、関係条例を改正して創設され、昨年5月から運用されている。
「手間をかけて分別ルールを守る市民がいる一方で、分別のルールに従わない人がいることは不公平感を抱かせる」ことなどが制度創設の理由で、今年9月までの分別違反者に対する指導は約5300件あり、勧告は28件。命令は初の過料処分となったこの男性の例を含めて3件となっている。
間違ったり勘違いで分別違反をした住民を罰則対象から外すため、市は「分別違反のごみの量がごみ袋の3割以上を占めている場合」を違反と認定する際の目安にしているという。
一方、ごみ分別違犯者に最高で3万円の過料を科す条例を06年3月に全国で初めて制定した富岡市は、これまで過料を徴収した例はない。
同市の担当者は「故意にごみの分別ルールを守らないといった悪質な例がない上、違犯者を特定するのが難しい。いまのところ抑止力としての過料規定はあっても、適用する考えはない」と話している。
出典:カナロコ