五倫会との不明瞭契約8年/姫路市
2010/05/17
ニュース
姫路・空き瓶不法投棄 「市、なぜ優遇」声も
姫路市に回収空き瓶の処理・処分を委託された市内の社会福祉法人「五倫会」が市に提出した報告書で、処理量が受け入れた瓶の総量を大きく下回っていた問題は、県警が廃棄物処理法違反容疑で、女性理事長(73)宅などを捜索したことで事件へと発展した。
市は五倫会の報告書の矛盾を知りながら、随意契約を続けたことを認めており、県警は五倫会にリサイクル処理を委託した姫路市役所も捜索している。これまでに明らかになった市と五倫会の不明瞭(めいりょう)な関係を振り返った。
市は2000年度、市が回収した空き瓶をガラス片にリサイクル加工する業務を五倫会に委託した。それまでは別業者が請け負っていたが、市は「障害者の雇用を確保するため」との理由で委託先を変更した。
契約は1年ごとの随意契約。市は五倫会が運営する知的障害者通所授産施設「太陽の郷(さと)」に搬入された空き瓶100キロ・グラムにつき680~700円の委託料を払っていた。
しかし、01~05年度の五倫会のガラス片出荷実績は搬入量の3割に過ぎなかった。市は、06年度には五倫会から「販路がない」との情報を得ていたが、07年度まで契約を続け、8年間で五倫会に約2700万円を支出した。五倫会がガラス片の売却に行き詰まり、施設内に滞留させていることを認識しながら、手を打たなかった。
この点について当時の美化部長は昨年12月、読売新聞の取材に対し、「報告書の誤差に気づいていたが、翌月や年度中には適正に処理されていると思い込んでいた」と釈明していた。
また、随意契約について市は「空き瓶をガラス片に砕く処理機を持っている法人がほかになかった」とも説明していたが、3月議会で処理機の購入費約2000万円のうち市や国が約9割を補助していたことがわかった。補助は太陽の郷が00年4月にオープンされる3か月前に決まり、処理機の購入費はほぼ丸抱えされていた。
「なぜ、五倫会がこれほどまで優遇されるのか」
4月22日の市議会厚生委員会では、委員からそんな声が上がった。この日は、廃棄物処理法施行令で市町村が委託できる業者として「相当の経験を有するもの」と規定しているにもかかわらず、同法人が委託されるまでこうした経験がなかったことも明らかになった。
これらの批判に対し市は「事業は障害者福祉の側面が強く、手厚い補助金交付なども事業をスムーズに進めるには必要だった。契約は簡単に打ち切るわけにはいかなかった」としている。
県警は15日に捜索・現場検証を終了。今後、押収した資料を基に、約2520トンものガラス片などが不法投棄された容疑の捜査に本腰を入れる。
出典:読売新聞