事業系ゴミ、本格削減へ 警察OBが直接指導 / 大阪市
2009/05/05
ニュース
全国の政令市でゴミ処理量が最多の大阪市が、企業や店舗の事業系ゴミを削減するため、警察OBを廃棄物規制担当指導員に委嘱、排出事業者に直接指導する制度を今年度からスタートすることが4日、分かった。事業系ゴミを対象にした有料ゴミ袋の導入も目指しており、3カ年で事業系ゴミの約5%にあたる5万3000トンを減らす方針という。ゴミ袋の価格は今後の検討課題といい、負担を求められる事業者側の理解が得られるかが導入に向けた焦点になりそうだ。
ゴミ減量を将来ビジョンの目玉にかかげる平松邦夫市長のもと、市は平成19年度で147・6万トンだった事業系と家庭系のゴミ処理量を23年度までに130万トンに減らす方針をすでに打ちだしている。
このゴミ削減計画の達成には、事業系ゴミの減量が不可欠。通常の自治体では「3割が事業系、7割が家庭系ゴミ」(市環境局担当者)とされるが、企業や店舗数が計約20万にも上る市では事業系の割合が6割を占め、19年度には94万トンの事業系ゴミが排出された。
市では事業系ゴミについて、収集運搬の許可業者が排出事業所から回収し、焼却工場に持ち込む方式を取っており、これまではゴミの排出事業者への直接指導まで手が回らなかった。しかし、20年1月に無料の透明ゴミ袋を事業系、家庭系ゴミ双方で導入したために全体のゴミ量が減少傾向にあり、この機会をとらえて事業系ゴミの抜本的な削減策を講じることにした。
まずは、焼却工場に持ち込まれるゴミをチェックするため、ベルトコンベヤー式の検査装置を21年秋に導入。年間にトラック5000台分程度の内容検査を、23年度には30倍にあたる15万台分まで増やす。
具体的にはゴミ袋をコンベヤー上に開けて内容物を調べ、プラスチック片や金属片など産業廃棄物として処理されるべきゴミが混入されていないか判定。不適正と判断した場合には、収集運搬業者から事情聴取したうえで、警察OBらに委嘱する廃棄物規制担当指導員が排出事業者に直接指導する態勢を整える。
また、事業系ゴミの処理手数料(1トンあたり5800円)は政令市平均の半額程度と割安になっており、有料ゴミ袋の導入などで事業者に応分の負担を求めるが、ゴミ袋の価格は識者らで作る外部委員会の意見を聞きながら検討するという。
市は「排出事業者は、産業廃棄物を焼却工場に持ち込まないのはもちろん、紙やペットボトルは分別収集して、なるべくリサイクルに回すなどゴミ減量を推進してほしい」としている。
出典:産経ニュース