三菱マテ、レアアース“国内調達”化-リサイクルシステム構築を加速
2012/10/26
ニュース
三菱マテリアルがレアアース(希土類)のリサイクルシステム構築に力を入れる。家電のモーターに使われたネオジム磁石を回収し、再び製品に戻すシステムの実証に着手。家電メーカーに加え、磁石合金メーカーや磁石メーカーとも連携し、社会システムとして運用される仕組みづくりを目指す。調達不安が危惧されるレアアース。代替材料の技術開発が盛んに行われる中、“国内調達”の可能性を広げようとしている。(大友裕登)
「調達の多様化に役立てたい」。環境リサイクル事業部循環システム推進部の新井義明副部長は、レアアースのリサイクルシステム構築の意義をこう説明する。資源を安定調達するには複数国から調達するのが望ましい。レアアースは中国が世界生産の約9割を占めており、1国依存による調達不安がつきまとう。そのため、資源の安定確保に向けたリサイクルの意識が高まっている。
三菱マテリアルは2009年度からレアアースのリサイクル活動を始めた。研究や技術開発を行い、独自開発の装置を用いて効率的に回収する実証プラントを運用。エアコンを解体してコンプレッサー(圧縮機)などの部品を回収・分解し、ネオジム磁石を回収する。
ただ、本格的なリサイクルを行うには「仕組みができていないと、素材として回らない」(新井副部長)。現在、そうしたシステムの仕組みづくりに力を注いでいる。
いま取り組んでいるのは、リサイクルシステムの実証。回収した使用済み磁石を合金メーカーに送り、再生磁石合金を製造する。次に磁石メーカーが再生合金からネオジム磁石をつくり、家電メーカーに提供、再生磁石が製品に搭載されるという流れだ。
リサイクルは原料をいかに集められるかがカギとなる。三菱マテリアルの場合、グループ5社で家電リサイクルプラントを6工場持つ。国内で発生する使用済み家電の約20%を処理する。こうした集荷能力を生かしてモノづくりの各工程を担う企業と連携し、リサイクル実現に弾みをつける。
09年度からの取り組みは仕上げ段階に入った。今後は再生材料を実際に回す課程で抽出された課題を一つひとつ克服し、社会システムとしての確立を急ぐ。
新井副部長は「高性能磁石は日本が強い分野。その資源を確保しないといけない」と強調する。必要な資源を有効活用するリサイクルシステムを構築することで、資源だけではなく産業の競争力確保にもつなげようとしている。
出典:中小企業ニュース