リサイクルに法の壁 クリーニング店の袋は「対象外」
2009/09/30
ニュース
県クリーニング生活衛生同業組合(事務局・長野市)が、クリーニング済みの衣類にかぶせるプラスチック製袋のリサイクルに乗り出そうとしたところ、法律の壁に阻まれている。
容器包装リサイクル法では、クリーニング済みの衣類は「商品」に当たらず、その袋は「容器包装」ではないと解釈され、同法上はリサイクルの流れに乗らないためだ。環境意識が高まる中、組合員からは「時流に反している」との声が上がっている。
「燃やすのはもったいない」。同組合の加藤文人理事長(61)=安曇野市=によると、客や消費者団体からも、こうした声が寄せられる。衣類を1点づつ包むプラスチック製袋は、「プラ」マークの付いたリサイクル対象のプラスチック製包装と原料が変わらないのに、同法上は可燃ごみや不燃ごみ扱いになる。
リサイクルの取り組みでイメージアップし客を確保したいと、組合は8月の理事会で、県外の業者が製造しているプラマーク付き袋の導入を検討すると決めた。だが、経済産業省は、対象外の品にプラマークが付いている場合、「マークを取ってもらう」との立場。計画は暗礁に乗り上げている。
クリーニング店の袋は対象外と知らずに、資源物として出している人も多いとみられる。同省は「2013年の同法見直しの際、対象にすべきだとの強い声があれば議論する」と説明。加藤理事長は「一方でリサイクルを呼び掛け、一方で燃やせばいいというのは納得いかない」と話す。
愛知県では07、08年に県内の80店舗が客に袋を戻してもらい、ほかのプラスチック製品に再生するモデル事業に取り組んだ。が、回収率の低迷や、回収に廃棄物処理法に基づく許可が必要といった課題に直面。本格事業化の予定は今のところないという。
仙台市では昨年8月、宮城県クリーニング生活衛生同業組合が同様の取り組みを開始。袋と割引サービスのポイントを交換するなど工夫も凝らしている。渡辺満雄理事長(67)によると、集めた袋は県内業者が買い取るが、「1キロ当たり1円で、事業費はほとんど(加盟店の)持ち出し」。それでも参加店は当初の22店から、市内全体の3分の1近い340店まで増えている。
長野県の組合が独自回収に踏み込むかどうかは未定だが、「あきらめたくない」と加藤理事長。「住民や業界が困っていることこそ行政が手助けすべきではないか」と話している。
出典:信濃毎日新聞