ヤマキ――工程・製品ムダ見直し、だし粕再利用、包装軽
2008/05/15
ニュース
削り節・つゆ大手のヤマキ(愛媛県伊予市、城戸善浩社長)は製造工程で出る廃棄物の削減や、環境に優しい包装資材の採用などを進める。全社員がゴミのリサイクル、電気や水などの省エネに取り組み、事務所内ではペーパーレス化にも力を入れる。カツオという水産資源を扱う企業として、環境に配慮した経営に努めている。
ヤマキはカツオ節を原料として「かつおパック」「花かつお」「めんつゆ」などの商品を製造する。液体調味料に強みを持ち、粉末調味料で高い競争力を誇る味の素との資本・業務提携では、商品が競合せず、補完関係が成り立つ。
代表的商品の「めんつゆ」は原料のカツオ節を粉砕し、だしを抽出する「だし工程」と、しょうゆを加熱し調味料を加え熟成させる「かえし工程」の両工程をたどる。熟成したしょうゆにだし汁を加え、殺菌やビン詰めなどを経て出荷する。
この「だし工程」にヤマキの環境力の一端を垣間見ることができる。めんつゆを製造する第二工場(伊予市)では、大きな釜の中に粉砕したカツオ節を入れ、だしを取る。だしを取った後には大量のだし粕(かす)が出るが、これは捨てれば産業廃棄物。処分には費用がかかるが、ヤマキはこのだし粕の再利用を進め、廃棄物やコストの削減につなげている。
だし粕はタンパク質の固まりで、「一〇〇%食品循環資源になる」(環境安全衛生室の岩西智隆室長)。だし粕は家畜用の飼料となり、飼料を生産する専門の業者に販売することで、廃棄物をリサイクルしている。
できあがった商品の包装にも環境配慮の姿勢がうかがえる。めんつゆなどを入れるビンや、削り節を小さなパックに詰めたかつおパックの袋などは、軽量化や小型化を進めている。
軽量ビンは二〇〇七年一月に取り入れ、強度を維持したまま、ビンを薄く、軽くした。商品は四百ミリリットル、五百ミリリットル、六百ミリリットルのビンに詰めるが、各商品で約八%の軽量化につながった。かつおパックも〇六年九月に中敷きをなくし、袋自体を小さくするなどコンパクトな包装に変えた。
ビンは軽量化することでゴミの量を削減できる。パックも包装をコンパクトにすることで、輸送の際に使う段ボールを小さくできる。段ボールが小さくなれば、一回のトラック輸送で運べる数が多くなり、ゴミが減るだけでなく、輸送回数が減り、環境負荷の低減につながる。
事務所内でも全社員がゴミのリサイクルや省エネに取り組む。手のひらサイズの「環境カード」を全社員に配り、カードには〇九年度末までの電気や水、紙の使用量の削減目標などを明記。出張伝票など各種申請書類をなくし、パソコン画面上で実施するペーパーレス化も進めている。
これまでの成果として〇六年度末には、〇三年度末に比べて二酸化炭素(CO2)換算で九・二%の排出量を削減、リサイクル率は八八%から九四%に向上したという。ヤマキは「ISO9001」「HACCP」「ISO14001」など品質や環境に関する各種認証を取得。「カツオを原料として使う企業だからこそ、海や生態系など地球環境を守る責務がある」(経営企画室の森田正雄室長)と強調する。
出典:日本経済新聞