プラ製品リサイクル実証事業 環境省、イオンなど11社と連携
2013/02/16
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家庭で不要になった文具や玩具などのプラスチック製生活用品を店頭で回収しリサイクルする-。環境省は、大手小売りグループのイオンやセブン&アイ・ホールディングス(HD)など11社と連携し、使用済みプラ製品を効率的に回収・循環する仕組みの構築に向けた実証事業に乗り出した。
事業名は「PLA-PLUS(プラプラ)プロジェクト」。大手小売り2社以外には、生活雑貨や食料品を扱う「無印良品」を展開する良品計画、メガネ専門店「JINS」を運営するジェイアイエヌ、スターバックスコーヒージャパン、タカラトミー、ダイエーなどが参画する。
その各社の店舗で廃プラ商品を回収する実験を1日から24日までの日程で立ち上げた。底が平らな大型コップのタンブラーと雑貨も回収対象に入れ、回収の課題などを抽出する。
具体的には、廃プラ製品を入れる専用回収袋を約25万枚用意し、一部回収店舗で消費者に配布。その袋に家庭の不用品を入れて、店内に設けた回収ボックスに入れるか、回収担当者に渡す。
回収製品は、プロジェクト事務局を務める日本環境設計(東京都千代田区)の物流拠点に収集。そこで同社が廃プラ製品の組成や収集量について分析し、効率よく安定的な処理が見込めるリサイクル技術を調べる。
その際の選択肢は、廃プラ製品を溶かし原料や製品に再生する「マテリアルリサイクル」や不用品を化学的に分解し原料化する「ケミカルリサイクル」。それ以外にも「雑多な素材で構成される廃プラ製品に適したリサイクル技術を新たに開発することも検討する」(日本環境設計の高尾正樹専務)考えだ。
日本では、容器包装リサイクル(容リ)法に基づき、市町村が分別収集した容器包装廃棄物をリサイクルしている。
しかし、廃プラ製品は容リ法の対象外。このため、リサイクルに向く素材が多く含まれているにもかかわらず、自治体による廃プラ製品の分別収集が進まず、大半が焼却や埋め立てに回っている。環境省の推計によると、家庭で消費された廃プラ製品の年間発生量は約75万トンという。
この現状を打破することが実証事業の狙い。昨年2~3月に実施したプラプラプロジェクトの第1弾には6社が参画した。参画した良品計画は、33店舗で9日間にわたり実施、生活雑貨を20キログラム回収した。実験後のアンケートで、前向きな環境貢献意識が浮かび上がる一方、廃プラ製品を認知させ回収実績を増やす難しさも分かった。
これに続くのが、今回の第2弾。集客力の高いイオン9店舗やイトーヨーカドー6店舗などを新たに巻き込むとともに、回収袋をきっかけに買い物途中の消費者が気軽に参加できるリサイクル活動をめざした。
セブン&アイHD総務部の永井達郎氏は「身近なスーパーでの店頭回収は、リサイクルの利便性向上につながる」と強調。CSR(企業の社会的責任)活動を第一義としながらも、環境活動に共感する消費者の参加に期待を寄せる。
ただ、多くの壁が立ちはだかるのも事実。良品計画はリサイクル活動の拡充に意欲を示す一方、「多様な大きさの廃プラ製品を回収するハードルは高い」(企画室)との認識を示す。しかも、一部に金属や電池などを含む複合素材の廃プラ製品もあるため、一筋縄ではいかない。分別収集やリサイクルに要する費用や責任を関係者間でどう分担するかといった課題も残る。
08年4月施行の容リ法については、施行後5年目の見直しに向けた検討が4月にも始まる見通し。環境省は「容リ法の見直しに向けた論点整理を行う過程でプラプラプロジェクトの検証結果も参考材料の一つになる」(リサイクル推進室)との認識を示している。
出典:SankeiBiz