フッ素不使用の脱硫装置を導入、日新製鋼、スラグ再利用容易に。
2008/07/15
ニュース
日新製鋼はステンレスを製造する周南製鋼所(山口県周南市)のステンレス母材を造る工程で硫黄分を取り除く「カンバラ・リアクター(KR)装置」と呼ぶ特殊な装置を導入した。
他の物質と反応しやすいため取り扱いにくいフッ素成分を含む蛍石を同工程で使わずにすみ、鉄鋼不純物の「スラグ」もフッ素を含まなくなる。
廃棄物として処理することが多いスラグを、道路舗装材などとして外販することが可能になる。スラグを有効活用できるほか、外注費の削減にもつながる。
KR装置は銑鉄の成分を調整する転炉設備に併設し、銑鉄に脱硫剤を加えてかき混ぜることで硫黄分を取り除く。
十―十五分程度で終了し、工場全体の稼働率をほとんど落とさずに処理できる。投資額は約十五億円。
通常は転炉の前工程の電炉で蛍石を混ぜて硫黄分を取り除いていた。蛍石はフッ化カルシウムが主成分でスラグにフッ素成分が残る問題がある。
環境保護の観点から昨年、日本工業規格(JIS)法が改正されて蛍石の使用が規制されたため、フッ素分を含むスラグは廃棄物として処理する必要がある。
KR装置の導入で日新製鋼は自前で処理する場合と比べ、二酸化炭素(CO2)の排出量に換算すれば年間三千五百トン減となる。
出典:日経産業新聞, 1ページ,2008/07/15