トラック重量水増し申請、ゴミ処分費逃れか 大阪の業者
2010/07/06
ニュース
近畿の自治体などで作る廃棄物の最終処分場「大阪湾広域臨海環境整備センター」(本社・大阪市)で、大阪市内の汚泥処理会社が、搬入するトラック重量を水増しすることで廃棄物の量を少なく見せかけ、センターに払う処分料金を安く抑えていた疑いがあることが、関係者らへの取材でわかった。
内部告発があったが、センターは放置していた。同様の不正は他の業者でも見つかった。
汚泥処理会社の元社員の男性によると、同社は2002~08年、年1回のセンターへの申請時に10トン前後のトラック重量を1台あたり約2トン重く記載した書類を提出したという。
センターでは廃棄物を搬入するトラックを計量器に乗せ、申請時に登録されたトラック重量を引いて廃棄物量を算出し、処分料金を決める。登録できるトラック重量は車検証記載の重量か計量士が確認した重量に限られる。
元社員は計量士の資格を持ち、申請を担当していたといい、取材に対し「社長から『2トンぐらいなら大丈夫や』と水増しを強要された」と証言した。
昨年8月、自身が詐欺罪などに問われるのを覚悟した上で弁護士を通じてセンターに告発した。弁護士は、汚泥処理会社は4年間で少なくとも約8千万円の処分料金の支払いを免れたと指摘している。
同社の社長は「詳しくは言えないが、2トンほど重く登録していたのは事実。だますつもりはなかったが、最終的には私の責任」と話している。
元社員によると、告発に対応したセンターの担当課長は「証拠がない」と放置し、昨年末には「違反があるなら自主的に正してほしい。正せない場合はあなたが内部告発していることをおたくの社長に話す」と告げたという。
大阪市から出向している担当課長は取材に対し「警察が正式受理した話ではなく、告発とは言えない」と話した。一方、神戸市から出向しているセンターの理事は「担当課長の対応に不適切なところがあった。適正な運用になればいいという思いからの発言だった」とした。
センターによると、昨年春ごろにも、別の会社のトラック重量の水増しが判明。同様の不正が他にもある可能性が浮上したが、センターが実態調査をしたのは昨年11月だった。
調査は、業者に事前告知した上で9カ所のうち2カ所で、廃棄物を捨てた後のトラック重量を1日4時間、5日間にわたって計量。その結果、212台中7台が実際より約1トン重く登録されていたという。
センターは「今年度から抜き打ちで調査する」としている。不正による損害分について「いつから水増ししたか不明で、額が確定できない」と請求しない方針という。
消費者庁企画課は元社員の告発について「行政機関や告発者の勤務先への告発ではなく、公益通報者保護法が定める公益通報にはあたらない」としながらも、「センターは公的機関の要素が強く、圧力をかけた今回の対応は許されない」としている。
出典:asahi.com