ごみ固形燃料化:山梨の施設、1トン製造で赤字2万円 解体ビジネスで補う
2008/04/11
ニュース
燃料でありながら、販売額を超える処分費を要することが明らかになったRDF(ごみ固形燃料)化施設。山梨県南部町の南部町環境センターでは、1トンのRDFを製造する度に2万円超の赤字が生まれる。センターは収集ごみから電化製品や傘を手作業で選び出し、リサイクル業者に売る「解体ビジネス」まで手がけるが、それでも年間(05年度)約2000万円の負担にあえいでいる。
富士山と南アルプスを望む山あいに、老朽化したごみ焼却施設に代わってセンターが稼働したのは99年4月。人口約1万人の町が約11億2000万円を投じて建てた鉄骨2階建ての施設からは、ほとんど煙が出ない。
「焼却していたころは風が吹くと黒い煙がすごくて、白い洗濯物が真っ黒になった」。施設近くで美容院を営む女性(79)は喜ぶ。横で客の髪を触っていた長女(57)が「でもRDFの受け入れ先がなかなかないらしいわね」とつぶやいた。
RDFは1トン当たり500円で名古屋市の廃棄物処理業者に売る。一方、輸送費4200円と加工費1万7850円が施設側の負担で、差し引き2万1550円の赤字。業者は「塩素分が高過ぎるから廃プラスチックを加え5分の1以下に希釈している」。加工後は遠く北海道の製紙工場に売却するという。
センターの鈴木正規所長は「結局どこも買ってくれないんですよ。『ごみでしょ』と言われて……」と肩を落とす。稼働当初から受け入れ先探しに奔走し、1年半後にやっと兵庫県姫路市の施設を見つけたが、04年3月に打ち切られた。名古屋市の業者との取引が始まる同6月までは、民間の処理業者に処分費を支払ってしのいだ。
センター職員は時折、収集ごみから電化製品や傘を選び出し、手作業で解体する。銅線やアルミニウムなどをリサイクル業者に売るためだ。2年前から始めたが収入は年350万円程度だ。その傍らで、ごみ同然のRDFは毎日4トンも生み出され続けている。