ごみ処理、他市に依頼 焼却炉中止/姫路
2010/04/13
ニュース
作業員10人が重軽傷を負う爆発事故の起きた姫路市網干区の複合施設「エコパークあぼし」の敷地内7カ所から高濃度の可燃性ガスが検出されたことで、姫路市は操業を始めたばかりのごみ焼却炉の運転を止め、ごみの搬入も中止した。
市内で出るごみの半分以上が焼却できなくなり、他市にごみ処理を依頼する緊急事態になった。市民にもごみ減量を呼びかけるという。
●振り切ったメーター
石見利勝市長は10日午前、前日発足した事故対策委員会を、自らを本部長とする事故対策本部に格上げして、会議を開いた。「市にとって危機的な状況。原因究明や安全対策に全力をあげる」と話し、午後には現地を視察した。
エコパークの敷地では、あちこちでマンホールのふたが開けられ、人が落ちないように三角コーンや折りたたみいすで囲われていた。
市によると、最初に高濃度のガスを検出したのは9日午後4時ごろ。健康増進センター東側の雨水排水のマンホールを調べたところ、ガス検査器具の針が爆発下限値を超えて振り切った。
10日未明までに、全64カ所のマンホール内を調べたところ、ごみ焼却施設北側約15メートルなど計7カ所で高濃度ガスを検出。他にも、濃度は低いが可燃性ガスを検出したマンホールが複数あった。
●どうなるごみ処理
市はごみ焼却炉2基の運転を停止するとともに、マンホールのふたを開けて、ガス濃度を下げる対策をとった。爆発の危険性はなくなったが、安全性にはまだ問題があるとして、ごみの搬入などエコパーク全体の立ち入りを禁止している。
市内で1日に出る可燃ごみは約500トン。そのうち、エコパークでは約300トンを焼却していた。
1日から同施設が操業を開始したことで、ごみ処理能力が高まったとして、市は市川美化センターの2焼却炉を停止して大規模改修を始めたところだった。
現在使えるのは、焼却量が1日200トンの南部美化事務所だけ。エコパーク分のごみは、一時的に市川美化センターと南部美化事務所で保管するが、1日300トン増えると、この16日でいっぱいになる。市は県内の他市へごみの焼却を依頼する。
●早すぎたオープン
石見市長は対策本部の初会議で、「市民にごみ減量をお願いするビラを配布するなどして、協力を呼びかける」と話した。
記者会見では、事故原因が判明する前にエコパークあぼしの市民向け内覧会を開き、ごみ焼却施設の操業を始めたことについて「街の中にごみを積むわけにはいかないと思い判断した。延期すべきだった」と話した。
市の危機管理体制について問われると、「最悪のことを想定して事態に当たることができていない。責任は私にある」と反省した。
出典:asahi.com