「産廃説明せず」ソロンらが認めて謝罪し福岡県と和解 糸島リサーチパーク用地
2012/10/26
ニュース
福岡県が糸島リサーチパーク用地として、(株)ソロン(当時)らが所有していた土地を県有地と換地取得したところ、産業廃棄物が埋められていることが判明した。このため県が(株)ソロンコーポレーション(本社:福岡市中央区、古川純治代表)と(有)アセットコーポレーション(本社:福岡市中央区、井上芳人代表)を相手取って約2億9,600万円の損害賠償請求訴訟を起こしていたが10月19日、福岡地裁(府内覚裁判官)で裁判上の和解が成立した。
和解内容は、ソロンコーポレーションらがコンクリート片やアスファルトが埋められていることを説明しなかった事実を認め、福岡県に遺憾の意を表明し、アセットがリサーチパーク近隣に所有する山林など約3.8ヘクタールの土地を県に無償譲渡するというもの。同日、所有権の移転登記がなされた。県によると、譲渡された土地の評価額は約3,200万円。訴状によると、ソロンコーポレーションは、ソロンが商号譲渡した会社が商号変更した会社で、「エバーライフ」のブランド名でマンションを分譲販売している。アセットは、ソロンの資産・負債を引き継いだ不動産業者。
福岡県総合政策課は取材に対し、「相手が遺憾の意を表明し、県の主張の正当性が認められた」と述べた。県によると、被告らには、今回譲渡した土地以外に見るべき財産がなく、裁判所の早期解決を図る勧告を受けとめ、和解に至ったという。福岡県は9月議会で、同訴訟の和解について県議会に提案し、和解内容について同意議決が行なわれていた。
糸島リサーチパークは、2011年9月に造成が完了(1期)。現在、三次元半導体研究センター、社会システム実証センター、水素エネルギー製品研究試験センターが立地している。
産業廃棄物が埋まっていたのは、2期工事用地。訴状などによると、2006年7月に換地契約を締結(所有権移転登記完了)後1年以上経過した07年10月に前原市(当時)が地元説明会を開いたところ、参加者から「残土を入れた箇所がある」との指摘を受けた。県が調査したところ、土地の改変が考えられる3.1ヘクタールの土地に産業廃棄物が埋まっていることが判明した。
県が換地で取得した土地は約20.9ヘクタール、宅地見込み地として評価額9億4,000万円だったが、産廃が埋まっていた区域の整備分譲はできなくなったため約2億3,600万円の損害が生じた。さらに、土地の改変が考えられる3.1ヘクタールの範囲内の掘削、産廃の選別だけでも1億8,500万円の撤去費用がかかる見込みだ。
福岡県では2期工事については、1期区域の分譲状況や、経済情勢を見極めて利用方法を検討する方針だが、今回の裁判が終結しないと2期をどうするか検討する以前の状況だ。裁判は終結したが、県は「産廃が埋まっており、周辺への影響も考えないといけない。いろいろな条件をみながら検討していくが、まだ検討を開始してもいず、2期について具体的にどうこう申し上げる段階にない」としている。
出典:スペシャリスト(専門家)企業経営ネット