「夢のリサイクル」発表 廃棄物をハイテク素材に
2014/09/18
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農林水産物の廃棄物から次世代のハイテク素材を開発する信州大学と東京大学の共同研究グループは十六日、東京都内で記者会見した。代表を務める信州大カーボン科学研究所(長野市)の遠藤守信特別特任教授は「新しい日本の活力を工学と農業の連携で生み出したい」と強調した。
農業と工業の盛んな埼玉県を研究拠点とする計画で、近く八潮市に実験施設が設けられる。上田清司知事も会見に出席し「廃棄物が資源につながる夢のようなプロジェクト。大事なのは先端産業同士の融合で、埼玉県としても応援したい」と述べた。
共同研究では、ナノテクノロジー(超微細技術)を使い、稲わら、コメのもみ殻、寒天用の海藻、間伐材などから次世代のハイテク素材を生産。一部研究機関と協力しながら、微細な炭素物質の「ナノカーボン」や繊維質の「ナノセルロース」、二酸化ケイ素の「ナノシリカ」の三素材を生み出す。
最終的には、これらの素材を組み合わせ、「カーボンナノチューブ」や「グラフェン」など高機能の複合材を開発する。自動車部品や航空機部品、電池の電極材、建材などへの利用が期待されている。
研究は農業の活性化と循環型社会の実現につなげるのが狙い。遠藤氏は「(リサイクルが)うまくできれば、日本独自の付加価値を生む農業の形態となる」と意気込みを示した。
農林水産省の委託事業で、二〇一四年度から一六年度までの三年間が研究開発期間となる。
出典:東京新聞