食品ごみ共同でリサイクル 松江しんじ湖温泉の旅館など
2011/01/18
環境省
松江しんじ湖温泉(松江市)を中心とする旅館やホテルなど9施設が、食品ごみで肥料を作り、その肥料で育てた農作物を使った料理を利用客に提供するリサイクル事業を始めた。廃棄物処理業のアースサポート(同、尾崎俊也社長)が参画。環境にやさしい「エコロジー温泉」をアピールして集客に結びつける。
食品ごみのリサイクル事業に参加するのは、旅館「なにわ一水」を経営するなにわ旅館(松江市)や、「てんてん手毬(てまり)」を運営する神の湯(同)をはじめ、ホテルや飲食店などを含む計7社の9施設。
調理の残りなど、各施設で排出される食品ごみ年間約210トンをすべてアースサポートが受け入れ、発酵させて液体肥料を製造する。
この液体肥料を活用して、アースサポートが出資する農業生産法人、アースファーム(松江市)が島根県東出雲町にある約2ヘクタールの農地で、ニンジンやタマネギ、サトイモ、トマトなどを栽培。各施設は宿泊客などに提供する料理に、この肥料で育てた野菜を使った献立を開発し、アースファームから食材を買い取る。
アースサポートの試算によると、食品ごみを処分する際に発生する二酸化炭素(CO2)排出量を、焼却処分した場合に比べて約7割削減できるという。
各宿泊施設に農作物を供給している他の農家にも、アースサポートが製造した液体肥料の利用を促す。現在、農林水産省に食品の再生利用事業計画「リサイクルループ」の認証を申請中だ。
松江しんじ湖温泉は約10の旅館・ホテルがあり、玉造温泉(松江市)と並び島根県を代表する温泉だが、1990年代には30万人を超えていた年間入り込み客数が2009年には20万人を割り込んでいる。
環境問題に関心を持つ若い女性などに「エコ」をPRして集客に結びつける狙いで、現時点でリサイクル事業に参加していない施設にも導入を呼びかけていく考え。
出典:日本経済新聞